1-1のタイスコアで迎えた終了間際だった。勝ち越しゴールを奪ったスターリングは、マンチェスター・Cのサポーターが陣取るスタンドに駆け寄って喜びを分かち合った。だが、これに対して、マイク・ディーン主審から2枚目のイエローカードを突き付けられて退場となってしまったのだ。
英国メディア『BBC』によると、競技規則では、「安全やセキュリティーの問題を生じさせ得る形で観客に近づいた」場合、選手は警告されるという。ディーン主審はこの規則にのっとって処分したようだ。
しかし、ゴールを決めて自軍のファンと喜びを共有する行為は致し方ないようにも思える。グアルディオラ監督は、試合後、BBCのインタビューで、「理解できない。誰か理由を説明してくれないか?」と不満を露わにし、さらに『スカイ・スポーツ』でも、「ファンを招くなということか? ファン不在でプレーすればいいのか?」と怒りを表し続けた。
ディーン主審はこの日、ほかにも議論を呼ぶ判定をしていた。ボーンマスのネイサン・アケーがマンチェスター・Cのガブリエウ・ジェズスを止めた場面で、アケーにイエローカードを出したが、決定機阻止でレッドカードを出すべきだったとの声も少なくない。
マンチェスター・Cは前節にカイル・ウォーカーが退場となっており、グアルディオラ監督がフラストレーションを感じているとの見方もあるだろう。だが、スターリングの退場処分については、識者からも非難の声が上がっている。
元イングランド代表のアラン・シアラー氏は、ツイッターで、「『それがルール』なんてナンセンスなことはやめてくれ。ディーン主審が決勝点を挙げたことがないのは明らかだ」と疑問を投じた。
「『でもルールだ』と言う人たちにはこう言いたい。良識なく厳格にルールを適用するのなら、どうしてイエローカードを出されたのはスターリングだけなんだ?」
かつてウェストハムでプレーしたボビー・ザモラ氏も、「もうゴールを祝うこともできない。スターリングの退場は間違いなくバカげている」と、ディーン主審を批判している。
人として当然の反応を認めるべきか、ルールを厳守すべきなのか。事は難しい問題だが、イングランド・サッカー協会は相次ぐ不満の声をどう受け止めているのだろうか。今後の対応が注目される。
