「リードしていたという余裕があった」。
[J1リーグ12節]磐田0-2柏/5月20日(土)/ヤマハ
12節で磐田を下した柏は、リーグ6連勝。破竹の勢いで勝点を積み上げ2位に浮上した。
【磐田0-2柏 PHOTO】クリスティアーノと中川の2ゴールで柏が6連勝!
好調の要因のひとつが『余裕』だ。
磐田戦の54分のシーンは、まさにそれが垣間見えた。
相手DFの背後に抜け出した武富孝介が、GKと1対1の場面を迎える。勢いよく飛び出してきた相手GKのカミンスキーと交錯し、ピッチに倒れこんだ。
当初、主審はPKの判定を示したが、このジャッジに磐田の選手は猛抗議。その後、主審と副審による協議の末、このPKは取り消された。
柏のキャプテン・大谷秀和の話によれば、「副審の判断で、という説明でした。『自分(ここでは主審を指す)と副審の見解が違った』と」いう。
ファウルであったかどうかは、意見が分かれるかもしれないが、一度下されたジャッジが覆るのは前代未聞。選手たちは激昂して冷静さを欠いてもおかしくはないが、これに対して柏の選手たちは意外にも落ち着いていた。
一度は主審のもとに駆け寄ったものの、確認を終えるとすぐにそれぞれの持ち場に戻っていき、集中を切らさぬようチームメイト同士で互いに声をかけ合う。
試合後も選手たちは冷静だった。
「ルール上それ(協議をしたうえで判定を変えること)はOKなので、仕方ない。見ていてもファウルではないと思いましたしね」と淡々と話した大谷は、続けてこう語る。
「選手同士でしっかり話をしながら乗り越えられた。あれはもちろん大きな判定でしたけど、その後の追加点を取れるチャンスが一切なくなったわけではないし、必要以上に落胆するほどでもない。0-1で負けている状態で、あのPKがなくなったらショックだけど……リードしていたという余裕があった」
ほかのメンバーも同じように口を揃える。
「自分の見解からすれば、あのシーンはPKであって然るべき。GKが出たタイミングで結果としてタケ(武富)が倒されていましたから。しかし、こういったこと(判定が覆ること)はゲームの流れのなかで起こり得ることなので、切り替えてやっていこうとピッチ内で話をしていました」(クリスティアーノ)
「レフェリーも人間ですし、間違いはあります。僕らがパスミスをするのとまったく一緒。すぐに切り替えるだけだった。ピッチの中でうまくコミュニケーションを取れたのが、集中力が途切れなかった要因かなと思います」(中川寛斗)
選手たちが口々に言う「気持ちの切り替え」に、『余裕』を感じさせた。リーグで勝利が続く現状に、ある意味での『勝者の余裕』が備わってきたようだ。冷静さを保つことがまた勝利につながる。現にこの磐田戦では、その後カウンターから追加点を奪い、勝点3を獲得した(〇2-0)。そして、この好結果が再び余裕を生む――。
現在、柏はこうした〝余裕のサイクル“の真っ只中にいると言える。大谷は、好循環が生まれるチームの現状についてこう語る。
「今、先手を取れているので、チームとして落ち着いていて、(GKの中村)航輔を中心に全員で身体を張りながら守れている。それに、こうして勝っている中でも、ハードワークを疎かにしたら勝てなくなるという話はみんなで常にしている。良いサイクルが出来ている」
まさに目下絶好調。柏の快進撃はまだ続きそうだ。
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWeb編集部)
12節で磐田を下した柏は、リーグ6連勝。破竹の勢いで勝点を積み上げ2位に浮上した。
【磐田0-2柏 PHOTO】クリスティアーノと中川の2ゴールで柏が6連勝!
好調の要因のひとつが『余裕』だ。
磐田戦の54分のシーンは、まさにそれが垣間見えた。
相手DFの背後に抜け出した武富孝介が、GKと1対1の場面を迎える。勢いよく飛び出してきた相手GKのカミンスキーと交錯し、ピッチに倒れこんだ。
当初、主審はPKの判定を示したが、このジャッジに磐田の選手は猛抗議。その後、主審と副審による協議の末、このPKは取り消された。
柏のキャプテン・大谷秀和の話によれば、「副審の判断で、という説明でした。『自分(ここでは主審を指す)と副審の見解が違った』と」いう。
ファウルであったかどうかは、意見が分かれるかもしれないが、一度下されたジャッジが覆るのは前代未聞。選手たちは激昂して冷静さを欠いてもおかしくはないが、これに対して柏の選手たちは意外にも落ち着いていた。
一度は主審のもとに駆け寄ったものの、確認を終えるとすぐにそれぞれの持ち場に戻っていき、集中を切らさぬようチームメイト同士で互いに声をかけ合う。
試合後も選手たちは冷静だった。
「ルール上それ(協議をしたうえで判定を変えること)はOKなので、仕方ない。見ていてもファウルではないと思いましたしね」と淡々と話した大谷は、続けてこう語る。
「選手同士でしっかり話をしながら乗り越えられた。あれはもちろん大きな判定でしたけど、その後の追加点を取れるチャンスが一切なくなったわけではないし、必要以上に落胆するほどでもない。0-1で負けている状態で、あのPKがなくなったらショックだけど……リードしていたという余裕があった」
ほかのメンバーも同じように口を揃える。
「自分の見解からすれば、あのシーンはPKであって然るべき。GKが出たタイミングで結果としてタケ(武富)が倒されていましたから。しかし、こういったこと(判定が覆ること)はゲームの流れのなかで起こり得ることなので、切り替えてやっていこうとピッチ内で話をしていました」(クリスティアーノ)
「レフェリーも人間ですし、間違いはあります。僕らがパスミスをするのとまったく一緒。すぐに切り替えるだけだった。ピッチの中でうまくコミュニケーションを取れたのが、集中力が途切れなかった要因かなと思います」(中川寛斗)
選手たちが口々に言う「気持ちの切り替え」に、『余裕』を感じさせた。リーグで勝利が続く現状に、ある意味での『勝者の余裕』が備わってきたようだ。冷静さを保つことがまた勝利につながる。現にこの磐田戦では、その後カウンターから追加点を奪い、勝点3を獲得した(〇2-0)。そして、この好結果が再び余裕を生む――。
現在、柏はこうした〝余裕のサイクル“の真っ只中にいると言える。大谷は、好循環が生まれるチームの現状についてこう語る。
「今、先手を取れているので、チームとして落ち着いていて、(GKの中村)航輔を中心に全員で身体を張りながら守れている。それに、こうして勝っている中でも、ハードワークを疎かにしたら勝てなくなるという話はみんなで常にしている。良いサイクルが出来ている」
まさに目下絶好調。柏の快進撃はまだ続きそうだ。
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWeb編集部)