「時間稼ぎという考えは一切浮かばなかった」
[J1リーグ2節]FC東京2-0大宮/3月4日(土)/味スタ
90+1分だった。大宮のゴールマウスを守る塩田仁史によって、大久保嘉人の放ったループシュートは阻まれた。そのこぼれ球に詰めていたのが中島翔哉だった。
スコアは2-0となり、残り時間はわずか。54分に河野広貴に代わってピッチに立った男が、試合を決定付けるゴールを決めたのだ。
「あそこに詰めているのは、非常に素晴らしい。あれで勝ちを確信できた」とは、惜しくも移籍後初得点を逃した大久保の弁。確かに、ポジショニングの妙ではあった。
「足を運んでくれたサポーターに勝利を届けられるように」。結実した想いとは別に、中島はある信念を持って試合に臨んでいる。
スコアボードの数字が動いた場面に話を戻す。始まりは、高い位置での守備だった。ボールホルダーを挟み込んでマイボールにすると、室屋成から中島、ワンタッチで再び室屋へ。
瞬間、中島はスピードを上げてボールを呼び込んだ。対峙するは大宮のCB河本裕之。後半アディショナルタイムという状況、スペースの空き具合、1-0という得点差を考えればコーナーフラッグ付近へ運んで時間稼ぎという手もあったはず。
だが、仕掛けた。一旦左へ持ち出すような動きを見せて、切り返し、大きく右へ。DFを完璧に手玉に取った。そして、クロス。これがチーム2点目のシーンにつながった。躍動した青赤の背番号23は回想する。
「サッカーは何点取れるかというスポーツだと思っている。時間稼ぎという考えは頭の中にまったくないし、見ている人たちもつまらないはず。そんなのは一切浮かばなかった。1-0より2-0、2-0よりは3-0のほうが良い。欲を言えば、いくらでもゴールを取りたい」
これが、“サッカー小僧”たる所以なのだろう。サッカーを楽しみたい、サッカーを楽しんでもらいたい。若武者を突き動かす気持ちは純粋で、貪欲だ。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
90+1分だった。大宮のゴールマウスを守る塩田仁史によって、大久保嘉人の放ったループシュートは阻まれた。そのこぼれ球に詰めていたのが中島翔哉だった。
スコアは2-0となり、残り時間はわずか。54分に河野広貴に代わってピッチに立った男が、試合を決定付けるゴールを決めたのだ。
「あそこに詰めているのは、非常に素晴らしい。あれで勝ちを確信できた」とは、惜しくも移籍後初得点を逃した大久保の弁。確かに、ポジショニングの妙ではあった。
「足を運んでくれたサポーターに勝利を届けられるように」。結実した想いとは別に、中島はある信念を持って試合に臨んでいる。
スコアボードの数字が動いた場面に話を戻す。始まりは、高い位置での守備だった。ボールホルダーを挟み込んでマイボールにすると、室屋成から中島、ワンタッチで再び室屋へ。
瞬間、中島はスピードを上げてボールを呼び込んだ。対峙するは大宮のCB河本裕之。後半アディショナルタイムという状況、スペースの空き具合、1-0という得点差を考えればコーナーフラッグ付近へ運んで時間稼ぎという手もあったはず。
だが、仕掛けた。一旦左へ持ち出すような動きを見せて、切り返し、大きく右へ。DFを完璧に手玉に取った。そして、クロス。これがチーム2点目のシーンにつながった。躍動した青赤の背番号23は回想する。
「サッカーは何点取れるかというスポーツだと思っている。時間稼ぎという考えは頭の中にまったくないし、見ている人たちもつまらないはず。そんなのは一切浮かばなかった。1-0より2-0、2-0よりは3-0のほうが良い。欲を言えば、いくらでもゴールを取りたい」
これが、“サッカー小僧”たる所以なのだろう。サッカーを楽しみたい、サッカーを楽しんでもらいたい。若武者を突き動かす気持ちは純粋で、貪欲だ。
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)