【蹴球日本を考える】レオ&ペドロの加入で王者はかなり面倒くさいチームになった

カテゴリ:連載・コラム

熊崎敬

2017年02月18日

土居のゴール数はレオ・シルバの加入で大きく増えるかもしれない。

今季、新潟から新加入のレオ・シルバ(4番)と神戸から新加入のペドロ・ジュニオール(7番)。ゼロックス杯での出来を見る限り、強力な助っ人となりそうだ。写真左:滝川敏之、写真右:茂木あきら(ともにサッカーダイジェスト写真部)

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[FUJI XEROX SUPER CUP 2017]鹿島 3-2 浦和/2017年2月18日/日産スタジアム

 鹿島が変わった――。
 
 3-2で浦和を破ったゼロックス・スーパーカップを観ての、私はこんな印象を抱いた。
 
 2015年途中に石井監督が就任してからというもの、鹿島はボールをつなぐ試合運びを続けてきた。敵陣の深いところで2、3人が連係し、短いパスをつないで相手ペナルティエリアの懐を切り崩す。ボール支配を前提とした、手数をかけるサッカー。それは日本的なスタイルといってもいい。
 
 ところがゼロックスの鹿島は、まったく違う試合運びを見せた。
 
 43分に生まれた2点目が印象深い。
 レオ・シルバの速い縦パスから一気にチャンスが生まれ、土居、金崎とつないで、最後にこぼれ球を遠藤が押し込む。サイド深いところでパスをつなぐのではなく、奪ったら一気に縦へ。この2点目のような逆襲の形から、次々と決定機が生まれた。
 
 手数をかけず、一気にゴールへ。
 鹿島のスタイルが変わったのは、レオ・シルバ、ペドロ・ジュニオールというブラジル人ふたりが加わったことが大きい。
 
 特にレオの存在感は目を惹いた。
 この選手の素晴らしいところは、敵のボールを刈り取って、そのまま前進してチャンスに絡むところだ。ボールを奪って左右に散らすだけのボランチと比べると、単独でより多くの、より決定的な仕事ができる。
 
 狭い局面でボールを奪い、なおかつ密集を打ち破って前に出る。そのことで敵の数人を置き去りにすることが可能になる。これは味方が数的優位になるということ。残った敵は目の前に迫ってくるレオに寄せるしかなく、その裏側にフリーの味方が生まれる。
 
 ゼロックス杯では土居が幾度となく決定機を迎えたが、これは間違いなくレオ効果だ。昨年8点だった土居のゴール数は、レオの加入で大きく増えるかもしれない。
 
 単独で反転速攻できるレオのような選手がいれば、手数をかけて崩すよりも一直線にゴールに迫った方が効率的だ。その意味で、このチェンジは理にかなっている。
 
 レオだけでなく、前線のペドロも効いていた。
 ルーズボールを追って、何度も敵を後ろから倒してファウルをもらっていたが、これは駆け引きの一環だろう。やりたいことができない時でも、敵に思い通りにさせないこと、心理的重圧をかけることの大切さを熟知している。
 
 レオとペドロという厄介な連中が加わったことで、元々嫌らしかった鹿島はかなり面倒くさいチームになった。

 王者鹿島を倒すのはどこか。これが2017シーズン最大の焦点になりそうだ。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)

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