川崎からのオファーには「びっくりして、信じられなかった」
誤解を恐れずに言えば、その経歴だけを見れば昨シーズンのJ1で優勝争いを繰り広げたチームが獲得した新戦力とは思えない。
2017シーズンより愛知学院大から川崎に加入した知念慶はいわゆる“無名”の存在だ。大学2年時に夏の全国大会である総理大臣杯でベスト4まで駒を進めたものの、それ以降は全国区で輝くことはなかった。プロ入りを本気で意識するようなこともなく、「サッカーでどうにかしたいとは思っていたけど、プロというよりかは実業団」と考えていたほど。そんな彼にとって、川崎からのオファーは耳を疑うものであった。
「びっくりして、信じられなかったですね。最初は。プロを目指すような環境ではあまりなかったですし“自分で良いのかな?”という感じは正直、ありました」
まさかJ1のクラブから話が来るとは思っていなかったようだが、そんな彼をなぜ川崎は獲得したのだろうか。大きな理由として挙げられるのが“成長の可能性”だ。
これまで全国クラスの強豪とは言えないチームで育ってきた知念は、言ってしまえば高いレベルでのサッカーを学んだことがない。ただ、その中でも、所属した地域のリーグでは抜群の足もとの技術の高さを見せ、空中戦では無類の強さを発揮していた。そんな彼を見て、伊藤宏樹スカウトは「伸びしろがかなりある」と確信したという。
「DFとしては守りづらい選手だと思ったし、東海地区とはいえ、2,3人に囲まれても取られない。あとは、決して大きくないけど空中戦に絶対に勝つんですよ」
この“絶対に”勝つ空中戦は本人も武器として自覚する部分だが、身長は176センチと決して大柄なわけではなく、これが高い身体能力の証明ともなっている。とはいえ、知念自身が注目してほしいと思っている部分は、そこだけではなかった。
「シュートは、右足も左足も同じ威力で蹴れると思っている。ゴール前で両足と頭から、どこからでも点を決められるというのが自分の武器。そういうところを出していきたい」
“どこからでも点を決められる”と言えば、このチームで真っ先に頭に思い浮かぶのが小林悠だ。左右両足から放つ精度の高いシュート、足もとの技術、空中戦の強さ。またプレー面のみならず、何よりも近いと感じるのが、決して“強豪”とは言えない大学の出身であること。
「自分と境遇が似ている部分もあるので、そこは意識しているし、悠君みたいになれるようにしたいですね」
もちろん、このチームですぐにレギュラーを掴むことは難しい。ただし、現状でレギュラーを確約できるセンターフォワードは小林のみと言って良いだろう。1年目からこの争いに割って入り、数年後には川崎のサポーターに大きな既視感を与える存在となるために。“小林悠2世”知念慶の旅が始まる。
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)
2017シーズンより愛知学院大から川崎に加入した知念慶はいわゆる“無名”の存在だ。大学2年時に夏の全国大会である総理大臣杯でベスト4まで駒を進めたものの、それ以降は全国区で輝くことはなかった。プロ入りを本気で意識するようなこともなく、「サッカーでどうにかしたいとは思っていたけど、プロというよりかは実業団」と考えていたほど。そんな彼にとって、川崎からのオファーは耳を疑うものであった。
「びっくりして、信じられなかったですね。最初は。プロを目指すような環境ではあまりなかったですし“自分で良いのかな?”という感じは正直、ありました」
まさかJ1のクラブから話が来るとは思っていなかったようだが、そんな彼をなぜ川崎は獲得したのだろうか。大きな理由として挙げられるのが“成長の可能性”だ。
これまで全国クラスの強豪とは言えないチームで育ってきた知念は、言ってしまえば高いレベルでのサッカーを学んだことがない。ただ、その中でも、所属した地域のリーグでは抜群の足もとの技術の高さを見せ、空中戦では無類の強さを発揮していた。そんな彼を見て、伊藤宏樹スカウトは「伸びしろがかなりある」と確信したという。
「DFとしては守りづらい選手だと思ったし、東海地区とはいえ、2,3人に囲まれても取られない。あとは、決して大きくないけど空中戦に絶対に勝つんですよ」
この“絶対に”勝つ空中戦は本人も武器として自覚する部分だが、身長は176センチと決して大柄なわけではなく、これが高い身体能力の証明ともなっている。とはいえ、知念自身が注目してほしいと思っている部分は、そこだけではなかった。
「シュートは、右足も左足も同じ威力で蹴れると思っている。ゴール前で両足と頭から、どこからでも点を決められるというのが自分の武器。そういうところを出していきたい」
“どこからでも点を決められる”と言えば、このチームで真っ先に頭に思い浮かぶのが小林悠だ。左右両足から放つ精度の高いシュート、足もとの技術、空中戦の強さ。またプレー面のみならず、何よりも近いと感じるのが、決して“強豪”とは言えない大学の出身であること。
「自分と境遇が似ている部分もあるので、そこは意識しているし、悠君みたいになれるようにしたいですね」
もちろん、このチームですぐにレギュラーを掴むことは難しい。ただし、現状でレギュラーを確約できるセンターフォワードは小林のみと言って良いだろう。1年目からこの争いに割って入り、数年後には川崎のサポーターに大きな既視感を与える存在となるために。“小林悠2世”知念慶の旅が始まる。
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)