「今のところは大学に進む予定」と言うが…。
サッカーは力の差が明確でも、必ずしもその差が試合の結果に直結することはない。ベスト8に勝ち進んだ東海大仰星だが、2回戦の鹿島学園との一戦は、まさにその典型的な試合だった。
前半から主導権を握ったのは東海大仰星で、初戦の藤枝明誠戦と同様に攻守にパワフルさを押し出して鹿島学園を押し込んだ。そして後半に入ると、東海大仰星は相手にシュートを1本も許さず、ワンサイドゲームを展開。終了間際の80分に見野龍太郎(3年)が決勝点を挙げて勝ち切った。
結果的には東海大仰星が3回戦へ駒を進めたが、このままPK戦へ進んで負けていようものならば、いっそうサッカーの理不尽さが象徴されることになっただろう。
ここまで決して大量得点を挙げているチームではないが、この大阪代表の攻撃力は魅力的だ。主将である松井修二(3年)が「1時間以上練習をしている」と語るセットプレーでは、右の松井と左の大崎航詩(3年)が良質なボールを配給し、流れの中では強さと前への推進力を発揮する両サイドバックが最終ラインから顔を覗かせ攻撃に厚みをかける。
その中で際立ったのが6番の面矢行斗(3年)である。「ボールを受けてからの入れ方には自信がある」と言うように左サイドから上げるクロスの質は太田宏介を彷彿させるような鋭さと落差があり、突破してからのグラウンダーのボールも相手にとって嫌なものばかり。クロスからシュートに結びつかなくても、相手はクリアどころか“当てる”のが精一杯で、それを拾って二次攻撃が始まる。そんなシーンが特に後半は多かった。
サイドバックとしては比較的大柄な179センチの高さがあり、ロングスローからもチャンスを創出できる。東海大仰星は左サイドからのチャンスが多かったが、それは彼がいるからと言っても過言ではないはずだ。
京都サンガU-15からU-18への昇格を逃し東海大仰星に進んだ面矢だが、この昇格を逃した反骨心を武器に、プロの舞台を目指す。進路については「今のところは大学に進む予定」と語るが、この選手権の舞台でプロのスカウトからの声掛けも待つ。現実的ではないかもしれないが、この2試合の彼のプレーを見れば、心を動かされるスカウトがいてもおかしくはないだろう。
「自分も負けないようにどんどん結果を出して上に行こうと思っている」
面矢が追いかけ、追い越そうとしているのは、ガンバ大阪の藤春廣輝だ。同じ高校出身で代表にまで上り詰めた偉大な先輩の背中を追う面矢のプレーは、間違いなく観る者の目を魅了するはずだ。
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)
前半から主導権を握ったのは東海大仰星で、初戦の藤枝明誠戦と同様に攻守にパワフルさを押し出して鹿島学園を押し込んだ。そして後半に入ると、東海大仰星は相手にシュートを1本も許さず、ワンサイドゲームを展開。終了間際の80分に見野龍太郎(3年)が決勝点を挙げて勝ち切った。
結果的には東海大仰星が3回戦へ駒を進めたが、このままPK戦へ進んで負けていようものならば、いっそうサッカーの理不尽さが象徴されることになっただろう。
ここまで決して大量得点を挙げているチームではないが、この大阪代表の攻撃力は魅力的だ。主将である松井修二(3年)が「1時間以上練習をしている」と語るセットプレーでは、右の松井と左の大崎航詩(3年)が良質なボールを配給し、流れの中では強さと前への推進力を発揮する両サイドバックが最終ラインから顔を覗かせ攻撃に厚みをかける。
その中で際立ったのが6番の面矢行斗(3年)である。「ボールを受けてからの入れ方には自信がある」と言うように左サイドから上げるクロスの質は太田宏介を彷彿させるような鋭さと落差があり、突破してからのグラウンダーのボールも相手にとって嫌なものばかり。クロスからシュートに結びつかなくても、相手はクリアどころか“当てる”のが精一杯で、それを拾って二次攻撃が始まる。そんなシーンが特に後半は多かった。
サイドバックとしては比較的大柄な179センチの高さがあり、ロングスローからもチャンスを創出できる。東海大仰星は左サイドからのチャンスが多かったが、それは彼がいるからと言っても過言ではないはずだ。
京都サンガU-15からU-18への昇格を逃し東海大仰星に進んだ面矢だが、この昇格を逃した反骨心を武器に、プロの舞台を目指す。進路については「今のところは大学に進む予定」と語るが、この選手権の舞台でプロのスカウトからの声掛けも待つ。現実的ではないかもしれないが、この2試合の彼のプレーを見れば、心を動かされるスカウトがいてもおかしくはないだろう。
「自分も負けないようにどんどん結果を出して上に行こうと思っている」
面矢が追いかけ、追い越そうとしているのは、ガンバ大阪の藤春廣輝だ。同じ高校出身で代表にまで上り詰めた偉大な先輩の背中を追う面矢のプレーは、間違いなく観る者の目を魅了するはずだ。
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)