[Jリーグチャンピオンシップ準決勝]川崎０-１鹿島／11月23日／等々力

　チャンピオンシップ準決勝の川崎戦は、指揮官のプラン通りに進んだようだ。１－０で勝利した試合後の記者会見で、鹿島の石井正忠監督は、開口一番次のように述べた。
 
「こういう戦い方になるんじゃないかなと予想はしていたので、まずは次に決勝に進むことができて本当に良かった。どういう内容であれ、僕らが１点上回っていることが次に進む条件だったので、それを果たせたことが良かった。選手が90分間役割をまっとうしてくれた」
 
　こういう戦い方になるんじゃないかな――そう語る指揮官が用意していたのは、ロースコアで試合をコントロールするプランだったのだろう。

　決勝に進むためには勝つしかない鹿島は、確かに前半からアグレッシブに攻めていた。しかし、無理に前がかりになるのではなく、２ボランチの小笠原満男と永木亮太を中心にしっかりとリスク管理もしていた。先制点はほしいが、失点は絶対にしない。鹿島の戦い方からは、そんな指揮官の意図が感じられた。

　そして、金崎のゴールで先制した50分以降は、すかさず守備の比重を高める。カウンターにつながりそうな場面でも自陣に人数を残し、攻撃にかかるのは２トップ＋１枚程度。徹底して隙を作らなかった。おそらく、これも監督の指示だろう。
 
　選手交代も的確だった。とりわけ効いたのが、三竿健斗をボランチに入れ、永木亮太を右MFに上げた采配だ。
 
「健斗は後ろでバランスを取るような形になるが、亮太は前にかなり距離を持ってボールにプレッシャーに行ける。そこは狙いだった。奪ってからもう一度攻撃で前に行けるという狙いで、亮太を前に出して健斗を中に入れる形にしました」
 
　永木を右サイドに置いて川崎の左SBにプレシャーをかけることで、自由なビルドアップを許さなかった。川崎が有効な縦パスを打ち込めなかったのは、永木のディフェンスが効いていたことと無関係ではない。
 
　終わってみれば、狙い通りの１点差勝利。常勝軍団と呼ばれた鹿島のお家芸である“１－０”だ。プランを完遂した石井監督の手腕は、称賛されていいだろう。