クラブ創立25周年の記念日だったが…。
どうにも、成績が安定しない。
夏場には、スルガ銀行チャンピオンシップを含め、公式戦4連敗を喫した。9月に入ると、天皇杯を挟んで公式戦3連勝と復調の兆しを見せたものの、“10月1日”の第2ステージ・14節の大宮戦は、1-3の完敗。この日は、クラブ創立25周年の記念すべき日だったが、ホームでいいところなく敗れ去った。
たしかに、昌子源、遠藤康、西大伍と、主力クラスに怪我人が相次いでいることが、不調の要因のひとつかもしれない。
しかし、右MFの遠藤の代わりは柴崎岳が務め、ボランチを本職とする柴崎の代わりに、中盤の底には小笠原満男、永木亮太と“新旧・日本代表”がコンビを組む。西の代役に抜擢されている伊東幸敏は、前任者に負けず劣らずの高いパフォーマンスを披露している。
現・日本代表のCB昌子の離脱は確かに痛いが、それでもファン・ソッコ、ブエノ、植田直通と、十分にレギュラーを張れる3人が控えている。つまり、そこまで大幅な戦力ダウンはしていないのだ。
それでも、第1ステージで見せていたような安定感は、ない。試合後、伊東が肩を落として言葉を絞り出す。
「正直、今はなにも言えないというか、ただただ悔しい。今日の試合が終わって、数週間が空いてしまうし、本当に勝って終わりたかった。どういう内容だったかとか、もう少し落ち着いてから考えたい。とにかく勝ちたかった。それだけです」
土居聖真も悔しさを滲ませる。
「(大宮戦の)後半は、けっこうゴール前に迫力をもって飛び込んでいく形が、流れの中で多く作れていた。そういうアグレッシブな攻撃を、1試合を通してやらなければいけない。そこが課題だと思います」
メモリアルゲームだったが、「不甲斐ない試合を見せてしまった。華を添えられなかった」と表情を暗くする。
――修正点を挙げるとすれば? 土居は次のように答える。
「ここ数試合が良かったのは、守備が安定していたから。今日は、めちゃくちゃ崩されたわけでもないけど、なんか……フワッとやられてしまった。やっぱり、守備ありきのサッカーかなとは思います」
先述したように、大宮戦の前は3連勝を飾っている。流れは悪くなかった。それが嘘のように、大宮戦は内容に乏しかった。奪った1得点もオウンゴールだ。
攻撃はどこか一辺倒で、守備では簡単に隙を与えてしまう。些細なきっかけで悪い方向へ転がる危うさが、今の鹿島には見え隠れする。
まだ時間があるとはいえ、チャンピオンシップに向けて、不安が募る完敗だった。リーグ戦は残り3試合。その前の中断期間と合わせて、どこまで状態を上向きにできるか。個々が危機感を持って取り組まなければ、手遅れになる。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
夏場には、スルガ銀行チャンピオンシップを含め、公式戦4連敗を喫した。9月に入ると、天皇杯を挟んで公式戦3連勝と復調の兆しを見せたものの、“10月1日”の第2ステージ・14節の大宮戦は、1-3の完敗。この日は、クラブ創立25周年の記念すべき日だったが、ホームでいいところなく敗れ去った。
たしかに、昌子源、遠藤康、西大伍と、主力クラスに怪我人が相次いでいることが、不調の要因のひとつかもしれない。
しかし、右MFの遠藤の代わりは柴崎岳が務め、ボランチを本職とする柴崎の代わりに、中盤の底には小笠原満男、永木亮太と“新旧・日本代表”がコンビを組む。西の代役に抜擢されている伊東幸敏は、前任者に負けず劣らずの高いパフォーマンスを披露している。
現・日本代表のCB昌子の離脱は確かに痛いが、それでもファン・ソッコ、ブエノ、植田直通と、十分にレギュラーを張れる3人が控えている。つまり、そこまで大幅な戦力ダウンはしていないのだ。
それでも、第1ステージで見せていたような安定感は、ない。試合後、伊東が肩を落として言葉を絞り出す。
「正直、今はなにも言えないというか、ただただ悔しい。今日の試合が終わって、数週間が空いてしまうし、本当に勝って終わりたかった。どういう内容だったかとか、もう少し落ち着いてから考えたい。とにかく勝ちたかった。それだけです」
土居聖真も悔しさを滲ませる。
「(大宮戦の)後半は、けっこうゴール前に迫力をもって飛び込んでいく形が、流れの中で多く作れていた。そういうアグレッシブな攻撃を、1試合を通してやらなければいけない。そこが課題だと思います」
メモリアルゲームだったが、「不甲斐ない試合を見せてしまった。華を添えられなかった」と表情を暗くする。
――修正点を挙げるとすれば? 土居は次のように答える。
「ここ数試合が良かったのは、守備が安定していたから。今日は、めちゃくちゃ崩されたわけでもないけど、なんか……フワッとやられてしまった。やっぱり、守備ありきのサッカーかなとは思います」
先述したように、大宮戦の前は3連勝を飾っている。流れは悪くなかった。それが嘘のように、大宮戦は内容に乏しかった。奪った1得点もオウンゴールだ。
攻撃はどこか一辺倒で、守備では簡単に隙を与えてしまう。些細なきっかけで悪い方向へ転がる危うさが、今の鹿島には見え隠れする。
まだ時間があるとはいえ、チャンピオンシップに向けて、不安が募る完敗だった。リーグ戦は残り3試合。その前の中断期間と合わせて、どこまで状態を上向きにできるか。個々が危機感を持って取り組まなければ、手遅れになる。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

9月21日発売号のサッカーダイジェストの特集は「日本はワールドカップに辿り着けるのか」。ハリルジャパンの危機説を、「本当に日本は弱くなかったのか?」など“10の論点”から検証します。ルーツ探訪では小林祐希選手が登場。