スタジアムは進化し、収益が増える一方で…。
8月22日、プレミアリーグ2節で、ウェストハムは新ホームスタジアムのロンドン・スタジアムでボーンマスと対戦した。
ウェストハムは昨シーズンまでアプトン・パークで112年間を過ごした。移転は熱狂的なファンの間で賛否両論が巻き起こった。大半のファンたちは新スタジアム移転に同意していたように思われるが、一部のファンはチームを支えてきた雰囲気のあるスタジアムを去ることに不安を覚えていたのだ。
私は、ボーンマスとの新ホームスタジアムの“デビュー戦”で、試合のムードがどう変わるのかに着眼していた。
その試合は多くの人々に「普通だった」と言われているが、私に言わせれば、アプトン・パークでの開幕戦と変わりないぐらいの喧騒が感じられた。
多くの人が平凡と評価したのは、昨シーズンの35節に行なわれたマンチェスター・ユナイテッド戦(○3-2)の逆転劇の印象が強く残っているからだろう。
それに加え、現在のチームは、ディミトリ・パイエとアンディ・キャロルが故障中で、今シーズンに獲得したアンドレ・アユーが開幕戦で全治4か月の大けがをするなど人気選手がスカッドにいないことも関係しているはずだ。
しかしながら、ウェストハムがロンドン・スタジアムに完全に適応するためには、もう少し時間が必要だろう。
新スタジアムは設計上、騒音を閉じ込めるように出来ているため、5万7000人(最大収容人数)のファンが詰めかけた時の歓声は、アプトン・パークの比ではない。選手たちはその中で戦うことに慣れる必要がある。
また選手たちはスタジアムの設備などにも早いうちに慣れておくべきだ。
初めて新スタジアムに訪れた際にキャプテンのマーク・ノーブルと指揮官のスラベン・ビリッチはロッカールームの再設計を申し出るなど、いくつかの問題点もすでに見つかっている。
8月7日に行なわれたユベントスとのプレシーズンマッチでは、大勢詰めかけたファンの後押しを受けた。そのファンの振る舞いは素晴らしく、イタリア王者に2-3で屈したものの、ウェストハムの戦いぶりは「相手よりも優れていた」と評価された。
新しいスタジアムへのフィットは必ずしも円滑に進むわけではない。ファンとチームがホームだと感じるには時間を要することもある。
2006年の6月にハイバリーからエミレーツ・スタジアムに移転したアーセナルも、当初は大成功だったとは言い難かった。アーセナルファンは今でもエミレーツ・スタジアムがハイバリーよりも愛すべき場所だとは思っていないように私は感じる。
フットボールスタジアムが年々進化している一方で、クラブはより多くの収益が見込める巨大なスタジアムを建設する傾向にある。そうした傾向はオールドファンとの溝を作り、微妙な空気を生み出している。
ウェストハムの新スタジアムがそうした状況にならないことを祈りたい。
文:スティーブ・マッケンジー
ウェストハムは昨シーズンまでアプトン・パークで112年間を過ごした。移転は熱狂的なファンの間で賛否両論が巻き起こった。大半のファンたちは新スタジアム移転に同意していたように思われるが、一部のファンはチームを支えてきた雰囲気のあるスタジアムを去ることに不安を覚えていたのだ。
私は、ボーンマスとの新ホームスタジアムの“デビュー戦”で、試合のムードがどう変わるのかに着眼していた。
その試合は多くの人々に「普通だった」と言われているが、私に言わせれば、アプトン・パークでの開幕戦と変わりないぐらいの喧騒が感じられた。
多くの人が平凡と評価したのは、昨シーズンの35節に行なわれたマンチェスター・ユナイテッド戦(○3-2)の逆転劇の印象が強く残っているからだろう。
それに加え、現在のチームは、ディミトリ・パイエとアンディ・キャロルが故障中で、今シーズンに獲得したアンドレ・アユーが開幕戦で全治4か月の大けがをするなど人気選手がスカッドにいないことも関係しているはずだ。
しかしながら、ウェストハムがロンドン・スタジアムに完全に適応するためには、もう少し時間が必要だろう。
新スタジアムは設計上、騒音を閉じ込めるように出来ているため、5万7000人(最大収容人数)のファンが詰めかけた時の歓声は、アプトン・パークの比ではない。選手たちはその中で戦うことに慣れる必要がある。
また選手たちはスタジアムの設備などにも早いうちに慣れておくべきだ。
初めて新スタジアムに訪れた際にキャプテンのマーク・ノーブルと指揮官のスラベン・ビリッチはロッカールームの再設計を申し出るなど、いくつかの問題点もすでに見つかっている。
8月7日に行なわれたユベントスとのプレシーズンマッチでは、大勢詰めかけたファンの後押しを受けた。そのファンの振る舞いは素晴らしく、イタリア王者に2-3で屈したものの、ウェストハムの戦いぶりは「相手よりも優れていた」と評価された。
新しいスタジアムへのフィットは必ずしも円滑に進むわけではない。ファンとチームがホームだと感じるには時間を要することもある。
2006年の6月にハイバリーからエミレーツ・スタジアムに移転したアーセナルも、当初は大成功だったとは言い難かった。アーセナルファンは今でもエミレーツ・スタジアムがハイバリーよりも愛すべき場所だとは思っていないように私は感じる。
フットボールスタジアムが年々進化している一方で、クラブはより多くの収益が見込める巨大なスタジアムを建設する傾向にある。そうした傾向はオールドファンとの溝を作り、微妙な空気を生み出している。
ウェストハムの新スタジアムがそうした状況にならないことを祈りたい。
文:スティーブ・マッケンジー

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。