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「日本人! ありがとう!」40年前、メキシコ上空の機内で“代わり”に受けたスペイン人サポーターからの拍手と歓声の嵐【コラム】

カテゴリ:国際大会

石川聡

2026年01月16日

日本人主審として初めてW杯本大会で笛

1986年のメキシコW杯で日本人主審として初めて笛を吹いた高田氏(中央)。スペインvsアルジェリアの難しいゲームを見事にさばいた。(C)AP/AFLO

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 アメリカ、カナダ、メキシコの3国共同開催で行なわれるFIFAワールドカップ2026の開幕が、もう5か月後に迫ってきた。さる1月13日発売の『サッカーダイジェスト』も日本代表やそのグループステージにおけるライバルを特集し、本大会への機運を盛り上げる。別冊付録の大会スケジュール&スタジアムMAPは、史上最多の48チーム出場、広大な3か国、16都市をまたにかける大会という空前のスケールをコンパクトにまとめている。

 本誌の中には、戦いの舞台となる16のスタジアムも紹介されていた。日本がグループステージの試合を行なうのは、6月14日にオランダとの初戦、そして同25日に欧州プレーオフB(3月下旬開催)を勝ち抜いたチームと第3戦で顔を合わせるアメリカ南部のダラス・スタジアム。第2戦のチュニジア戦(同20日)は国境を南に越えて、メキシコのエスタディオ・モンテレイが舞台となる。本誌の解説によれば、オープンは2015年で、収容人数は5万3500人。「鋼鉄の巨人」との愛称を持つそうだ。

 その日本対チュニジアの一戦が、ワールドカップ(W杯)通算1000試合目のメモリアルマッチになる予定である。そうした意味でも注目を集め、W杯の歴史に刻まれる一戦になるだろう。ちなみにW杯はウルグアイ大会の1930年7月13日、フランス対メキシコ、アメリカ対ベルギーの2試合同時刻キックオフで、その歴史の幕を開けた。

 ところで、このモンテレイは日本サッカー史に残る地名でもある。今から40年前の1986年6月12日、この街のテクノロヒコというスタジアムで行なわれた、メキシコ大会のグループステージ、スペイン対アルジェリアで高田静夫氏が日本人として初めてW杯主審を務めたのだ。それまで日本人がこの檜舞台に立ったのは、1970年のやはりメキシコ大会で2試合の副審を担当した丸山義行氏が唯一だった。
 
 スペイン、アルジェリアとも勝てばグループステージ突破が決まる重要な一戦は、エミリオ・ブトラゲーニョ、ミチェルといったスター選手を擁するスペインが、ラモン・カルデレの2得点などで3-0と快勝した。高田主審は双方に1枚ずつのイエローカードを提示するなど、激しい試合を冷静にコントロールした。反則を犯した選手にも毅然とした態度で向き合った。大役を果たした試合後には「大仕事を終えてホッとしたというのが正直な感想」と述べている。

 この試合のキックオフは正午。私は取材終了後にテクノロヒコからモンテレイの空港に向かい、予約していたメキシコシティ行きより一つ早い便にキャンセル待ちの手続きをした。乗れるか乗れないか、やきもきしながら待っていると、運良く最後の乗客として搭乗の許可が下りた。

 急いで機内へ入ると、そこで待っていたのは座席を埋めたスペイン人サポーターによる拍手と歓声の嵐。「ハポネス(日本人)!」「グラシアス(ありがとう)!」。それは、彼らにとって望み通りの結果に終わった試合を見事にさばいた日本人主審への感謝を、その同胞と見られた私が代わって受けた格好だった。

文●石川 聡
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