2026年の北中米W杯で、森保ジャパンのキーマンと見られる南野拓実（モナコ）がフランス杯の試合で左膝を負傷。クラブによると「左膝前十字靭帯断裂」と伝えられており、一般的に見れば全治８か月から９か月とも想定される怪我だ。

　もちろん物事に絶対はない。南野の順調な回復を願いつつ、ここでは仮に彼を欠いて本大会に臨むことになった場合の解決プランをまとめたい。

　大前提として３－４－２－１のシャドーにおいて、南野とまったく同じ役割をこなせる選手は存在しない。前からの守備とトランジション、オン・オフの両面で、中盤と前線をつなぐコンダクターとして、現時点で南野の右に出る選手はいないだろう。

　ただし、チームに求められるタスクをしっかりとこなしながら、個のスペシャリティで違いを出すという部分で、同等のパフォーマンスを出せる選手はいる。それが鎌田大地（クリスタル・パレス）だ。

　鎌田の能力に関して、ここで改めて語る必要はないが、ボランチとのポリバレントとして重要な存在になっている。南野が不在となれば、よりシャドーに固定するプランが１つ考えられる。

　それを可能にするには、本職のボランチが充実した陣容になる必要がある。その鍵になるのが、守田英正（スポルティング）の復権だろう。

　怪我やコンディションの影響もあり、スポルティングでも出場機会が少なくなっていた。W杯のアジア最終予選で中盤の主軸だったが、６月以降はしばらく招集されていない。しかし、ここ数試合はスポルティングでもポジションを取り戻してきており、来年３月の代表復帰も視界に入ってきていると見られる。

　もちろんボランチではプレミアリーグを日常とする田中碧（リーズ）の成長、ベルギーからドイツにステップアップした藤田譲瑠チマ（ザンクト・パウリ）の台頭も目を見張るが、守田の代表復帰が“鎌田シャドー”の鍵になる。
 

　また南野や鎌田とタイプはまったく違うが、三笘薫の左シャドーも重点的に考えたい選択肢だ。すっかりウイングのイメージが付いている三笘だが、東京五輪の代表チームでは左シャドーを主戦としており、鋭い飛び出しでも違いを生み出せる選手だ。

　もちろんワイドに流れながらボールを受けて、そこからドリブル＆シュートに持ち込むこともできる。彼もまた、最近は怪我に泣かされている選手の一人で、左ウイングバックでフル稼働することは難しいとも考えられる。

　そもそも３－４－２－１のウイングバックはアジア予選などより、自陣での守備参加を強いられる時間帯が長くなるはずで、そうなると求められる運動量が増加することに加えて、基本的にゴールからの距離が遠くなりやすい。

　そうであれば三笘をシャドーにすることで、長めのカウンターを含めて攻撃のスイッチ役になってもらう方が、彼のストロングもダイレクトに発揮しやすいだろう。左ウイングバックには中村敬斗（スタッド・ドゥ・ランス）と前田大然（セルティック）がおり、より守備的な仕事では鈴木淳之介（コペンハーゲン）や怪我から回復した伊藤洋輝（バイエルン）もいる。三笘の起用法を無理に同ポジションでこだわり続ける必要はない。

　鎌田や三笘をこれまで以上に左のシャドーで起用し、右は久保建英（レアル・ソシエダ）と右ウイングバックも兼ねる伊東純也（ヘンク）、堂安律（フランクフルト）でシェアするというのが、考えられる構成だろう。