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“自分がやるしかない”という自覚。劇的な成長曲線を描いた齋藤俊輔。同名のレジェンドに「少しでも近づけるようにやっていきたい」

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2025年12月28日

「一番のターニングポイントは、アウェーのFC今治戦」

今季の水戸で際立つ活躍を見せた齋藤。さらなる進化が楽しみな20歳だ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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 来年1月にサウジアラビアで開催されるU-23アジアカップを視野に入れ、『IBARAKI Next Generation Cup2025』に参戦していたU-22日本代表。12月27日にはU-21 ALL IBARAKIとの決勝に挑み、6-1と大勝。確実にチーム状態を引き上げ、中東の地へ赴くことになった。

 この試合で会場のケーズデンキスタジアム水戸が一番盛り上がったのが85分。背番号8をつける齋藤俊輔が登場した瞬間だった。今季の水戸ホーリーホックのクラブ史上初となるJ2優勝&J1昇格に貢献した20歳の若武者を待ちわびた地元の人々から大きな声援が送られたのだ。

 本人も期待に応えようと凄まじい闘志を前面に押し出す。89分には左サイドでボールを受け、相手を1人、2人とかわして思い切りの良いシュートをお見舞い。これは惜しくも枠を外れたが、重要局面でチームを勝利に導くゴールを奪ってきた彼らしい鋭さが垣間見えた。

「最後のアタックであったり、決め切る力はこの年代では抜けている。そういった良さは今日の短期間でも出たと思います」と、相手チームの指揮を執っていた樹森大介監督も力を込める。

 樹森監督は2024年まで水戸のコーチを長く務めた人物。桐光学園高校から加入したばかりの新人だった齋藤にも寄り添い、親身になって指導している。

「プロ1年目の俊輔には、精神的な部分や取り組む姿勢を口を酸っぱくして言った記憶がありますね。もともと得点能力も高いですけど、突破だけじゃなくて、マークを外したり、時間も作れるし、フィニッシャーとしての能力もある。それが今季の水戸ではすごくフィットしたと感じます。

 フィジカル的にはまだ世界的に見ると弱いですけど、自分の弱点を克服しながらやってくれると思います」と、成長を認めるとともに課題も指摘。齋藤本人も恩師との再会で大きな刺激を受けたことだろう。
 
「今年一年を振り返ってみると、一番成長したのは自信。J2を戦うなかで『本当に全然できる』という感覚を持てて、それに伴って結果がついてきたことが大きかったですね。

 一番のターニングポイントは、アウェーのFC今治戦。そこで点が取れるようになって、後半戦は自分がチームを引っ張っていく立場になった。『自分がやるしかないな』という自覚もありました」と齋藤は語気を強める。

 チームを救う印象的なゴールは少なくなかった。プロ2年目でこれだけの劇的な成長曲線を描く人材はそう多くない。今回のU-22日本代表では、この一年間でA代表まで上り詰めた佐藤龍之介(岡山)に続く劇的な変貌ぶりだったと言っていいのではないか。

 齋藤は同名の中村俊輔と同じように、横浜F・マリノスのジュニアユースから桐光学園に進み、プロ入りした選手。偉大な先輩もプロ2年目の98年にはチームの絶対的な主軸となり、シドニー五輪世代の中心的存在へと飛躍したが、ここまでの成長過程は非常に近いものがある。

 ご存じの通り、中村俊輔の方は20代になって日本の看板となり、世界で名を馳せたが、齋藤が先達のようになれるかどうかは本人次第。ここからが本当の勝負なのだ。

「桐光学園時代に鈴木勝大監督から俊輔さんの話を聞くことはありました。同じ名前ですけど、俊輔さんは本当にトップレベルで活躍した選手。少しでも近づけるようにやっていきたいです。

 直接、話をしたこともありますね。そこまで濃い内容ではなくて、軽く挨拶したくらいですけど、自分も俊輔さんみたいにいずれは欧州の舞台でプレーしたいという思いは常にあります」と、本人も突き抜けた存在になるべく、前進を続けていく覚悟だ。

 来季に関しては、海外移籍に向けての交渉に入ることが12月28日に正式リリースされ、同日に発表されたU-23アジアカップに臨む大岩ジャパンのメンバーにも選ばれなかった。

「2026年は今年以上に飛躍できるように結果を出したい」と本人も野心を押し出していく構えだ。決定力と推進力を備えた成長株が新天地で大暴れし、近未来の日本のスターへと駆け上がってほしいところだ。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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