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眠れぬ日々を乗り越えて。ラストプレーに泣いたU-20W杯を糧に…梅木怜がU-23アジア杯でさらなる飛躍へ【U-22日本代表】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2025年12月27日

心に深く響いた小原SDからの言葉

U-22日本代表の梅木が新たなスタートを切る。写真:松尾祐希

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 今でも鮮明に思い出せる。忘れたくても忘れられない。キャリア初の世界大会となったU-20ワールドカップで味わった悔しさを乗り越え、DF梅木怜(今治)が新たなスタートを切る。

 年明け早々の1月7日にサウジラビアで幕を開けるU-23アジアカップ。3年後の夏に開催されるロサンゼルス五輪の最終予選を兼ねる28年開催予定のアジアカップを見据えたうえでも、今大会は負けられない。今回の結果が次回のアジアカップにおけるポッド分けを大きく左右するからだ。

 短いシーズンオフを経て招集されたU-22日本代表の選手たち26人は、アジアカップに出場できる23人の枠を争いながら、コンディション調整に重きを置いたメニューを実施。高強度のトレーニングを積み、“IBARAKI Next Generation Cup2025(4チームによるトーナメント方式/45分ハーフ)”に参戦した。

 12月24日にU-21関東大学選抜戦(5−1)、27日の決勝でU-21ALL IBARAKI戦(6−1)に臨んだ。試合勘や連係面の確認を行ない、選手の状態も上がっていくなかでチームは優勝。ただ、その大会期間中、別メニュー調整が続いた選手がいた。右SBを主戦場とする梅木だ。

 J2第37節の札幌戦(1−1)で負傷した影響で参加が危ぶまれていたなかで、なんとか代表活動に合流。24日の初戦は回避したものの、徐々に状態を上げて27日のU-21ALL IBARAKI戦で復帰を果たした。わずか15分ほどプレーだったが、キャプテンマークをつけて登場。前半はMF大関友翔(川崎)、後半はDF永野修都(鳥取)が巻いた腕章を引き継ぐと、積極的なプレーで復調ぶりをアピール。深いタックルを見舞われ、ヒヤリとするシーンもあったが、事なきを得た。

 U-20W杯に続き、28年のロサンゼルス五輪を目ざす大岩剛監督のチームでもレギュラーとして期待される梅木。J2でも30試合で1ゴールをマークするなど、25年は自信を深めるシーズンになったのは間違いない。
 
 その一方で苦い記憶もある。今年の9月から10月にかけて開催されたU-20W杯では、今後のサッカー人生に大きな影響を与える出来事もあった。

 10月11日に行なわれたラウンド16。スコアレスで迎えたフランス戦は延長戦でも決着がつかず、誰もがPK戦を覚悟した。ベンチではPK戦を見据え、慌ただしくGK荒木琉偉(G大阪)がユニホームに着替えたことからも分かる、しかしーー。

 後半アディショナルタイムに差し掛かろうとした最中、エリア内の混戦で梅木の左手にボールが当たる。FVS(リクエスト方式のビデオ判定)により、PKのジャッジが下されて決勝点を決められた。

 試合後、涙がこぼれ、グラウンドでもミックスゾーンでもとめどなく流れ続けた。「最後に自分のところでハンドになって、本当に悔いが残る大会になって…」(梅木)。振り絞った言葉からも、悔しさが滲み出た。

 ホテルに戻ってからもフランス戦の後悔は頭に残り、その日の夜は眠れなかったという。帰国後も吹っ切れず、ひとりになると、ふとした瞬間に脳裏をよぎる。日常のなかで心は晴れなかった。

 しかし、いつまでも下を向いているわけにはいかない。周りの人からかけられた言葉で徐々に前を向き、再び自分のプレーに集中できるようになった。とりわけ、今季いっぱいで退任した今治の小原章吾スポーツダイレクターの言葉は心に深く響いたという。

「帝京高校時代に自分と(横山)夢樹をスカウトしてくれた小原さんから『引きずるな。いい経験をしたんだから。お前のミスかもしれないけど』と言ってくれて、そういう言葉があったから切り替えていくことができた」

 フランス戦で味わった苦い経験は誰もがするわけではない、味わったから分かることもあるし、長いサッカー人生を考えれば意味がある。

 そうした悔しさを乗り越え、もう一度世界で戦うために走り出した梅木の戦いは終わらない。U-23アジア杯ではどんなプレーを見せるのか。「しっかり結果を求めていきたい」(梅木)。U-20W杯での体験をより価値があるものにすべく、快速SBはサウジアラビアの地に赴く。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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