「1年間やり切ったんだなと」
溢れる涙が止まらなかった。試合終了のホイッスルが鳴ると、磐田U-18で10番を背負うMF石塚蓮歩(3年)は雄叫びを上げて感情を爆発。仲間と喜びを分かち合い、目頭には熱いものが込み上げてきた。
「何かから解放された感じで、本当にやっとという想いと、最後に大好きなみんなと勝てたことが…」
12月14日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグ参入プレーオフの2回戦。勝てば2023年シーズン以来となるプレミアリーグ復帰が決まるなか、磐田U-18は大宮U-18を5−1で撃破した。
立ち上がりから相手を圧倒。前半だけで2−0とし、後半も攻撃の手を緩めずに終わってみれば完勝だった。
試合後、西野泰正監督やスタッフから労われた石塚の前に、お世話になった恩師も姿を現した。藤田俊哉スポーツダイレクターらとともに観戦していた安間貴義監督だ。安間監督は今シーズンからU-18チームを率いていたが、9月下旬にジョン・ハッチソン監督の退任にともなってトップチームの監督に転任。石塚はコーチを務めていた西野監督のもとで再スタートを切った。
そうした変化に加え、自身も10月頭にトップチームへ合流。以降は試合前日にU-18に戻り、試合が終われば再びトップに戻る日々を送った。
同年代の仲間に関わる時間が少なくなるなか、U-18チームはプリンスリーグ東海で苦戦。2位で参入戦出場を決めたものの、最終節はライバル・清水ユースに0−1で敗れるなど、万全とは言い難い状態だった。
「何かから解放された感じで、本当にやっとという想いと、最後に大好きなみんなと勝てたことが…」
12月14日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグ参入プレーオフの2回戦。勝てば2023年シーズン以来となるプレミアリーグ復帰が決まるなか、磐田U-18は大宮U-18を5−1で撃破した。
立ち上がりから相手を圧倒。前半だけで2−0とし、後半も攻撃の手を緩めずに終わってみれば完勝だった。
試合後、西野泰正監督やスタッフから労われた石塚の前に、お世話になった恩師も姿を現した。藤田俊哉スポーツダイレクターらとともに観戦していた安間貴義監督だ。安間監督は今シーズンからU-18チームを率いていたが、9月下旬にジョン・ハッチソン監督の退任にともなってトップチームの監督に転任。石塚はコーチを務めていた西野監督のもとで再スタートを切った。
そうした変化に加え、自身も10月頭にトップチームへ合流。以降は試合前日にU-18に戻り、試合が終われば再びトップに戻る日々を送った。
同年代の仲間に関わる時間が少なくなるなか、U-18チームはプリンスリーグ東海で苦戦。2位で参入戦出場を決めたものの、最終節はライバル・清水ユースに0−1で敗れるなど、万全とは言い難い状態だった。
それでも、石塚には秘める思いがあった。
「自分たちが1年生の時に落としているので、上げないといけない。そういう責任はあった」
トップチームがJ1参入プレーオフ1回戦で敗れ、年内の活動が全て終わった先週からU-18チームに完全合流。仲間とともに汗を流し、シーズンを締めくくる最後の戦いに向けて調整を進めてきた。迎えた12日の1回戦は札幌大谷(4−3)に一時2点ビハインドを背負ったが、残り5分のタイミングで同点に追い付き、最後は石塚自らが後半アディショナルタイムに決めて逆転勝利を収めた。
劇的弾を含む2得点の活躍にも満足せず、石塚は14日の大宮戦も爆発。0−1で迎えた24分に追加点を奪い、61分にも加点。3−0とした86分にも味方の選手が放ったシュートのこぼれ球に反応し、試合を決めるゴールを奪って見事にハットトリックを達成した。
「史上最弱の代と言われていた」と石塚が振り返ったように、中学3年次は一度も全国大会に出場できず、高校1年次にはプリンスリーグ降格を経験。苦しんできたなかでも、最後に笑うことができた。
試合後、お世話になった安間監督から抱き寄せられると、涙を流した石塚はこんな言葉をかけられた。
「お前がちゃんとやれば、格が違うんだからこうなるだろ」
期待をかけられ、叱責されたのは一度や二度ではない。苦手だった守備面も含め、多くの言葉を投げかけられてきた。苦悩するなかで反発したくなるような時もあったが、自分と向き合いながら鍛錬を積んできたからこそ今がある。そうした積み重ねが最後に花開いた。
「いろんな言葉をかけてもらっていたので、ホッとしたというか、1年間やり切ったんだなという想いが強い」
エースの仕事を果たし、後輩たちに最高のプレゼント。もう悔いはない。恩返しを果たした石塚は、胸を張って次のステージに進む。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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