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平畠啓史チョイス“至極の11人”|鹿島の優勝に不可欠。松村優太の献身的に攻守に関わる姿は感動的だった【J1月間ベストイレブン11・12月】

カテゴリ:Jリーグ

平畠啓史

2025年12月10日

ゴールを決めるためのキック

平畠氏が選出した11・12月のJ1月間ベストイレブン。(C)SOCCER DIGEST

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 芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。11・12月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。

――◆――◆――

 鹿島の9年ぶりの優勝で幕を閉じたJ1リーグ。15戦負けなしでシーズンを終えた鹿島。難しい試合や思い通りにいかない試合でも着実に勝点を重ねタイトルを勝ち取った。

 ピッチ上からもスタンドからもタイトルに対する強い思いが見ている者に伝わってきたし、シーズンが進むにつれて、タイトルに対する思いがより高まっていったように見えた。鹿島に関わるすべての皆様、J1リーグ制覇おめでとうございます。

 さて、今回は11月に行なわれた36節、37節、そして12月に行なわれた最終節の38節のJ1リーグのベストイレブン、MVPを勝手にセレクトしながら、シーズン終盤を振り返りたいと思います。

 ゴールキーパーは広島の大迫敬介。ブロックを作って守るわけではなく、アグレッシブに相手にプレッシャーをかける広島。その守備が機能して、攻撃にも良い影響を与えているが、それだけにその守備が破られるとピンチは大きなものになる。

 そこで立ちはだかったのが大迫だった。湘南戦の前半でもピンチを多く迎えたが、大迫の出足の良さや、相手との距離を素早く詰めたことが失点を防ぎ、終盤の逆転劇に繋がった。3連勝でシーズンを終えた広島を後方から支えていた。

 ディフェンダーは宮本優太、植田直通、古賀太陽。171センチながら大きなフォワードにも果敢に挑む宮本。スピードと運動能力を活かし、頭を使いながら勇気を持って相手フォワードと戦う姿に勇気をもらった人も少なくないはず。曺貴裁サッカーの体現者の一人である。

 鹿島の植田は全試合フルタイム出場かつイエローカードを一枚ももらっていない。怪我人も出た鹿島のディフェンスラインでまさしく立ちはだかった。「鹿島が一番だ!」。魂の叫びは心に響くものだった。

 古賀もフルタイム出場。今シーズンの柏は5敗。純粋なセンターバックタイプの選手は古賀のみということも多かったが、跳ね返すだけでなく攻撃の起点にもなっていた。
 
 ボランチは鹿島の知念慶と柏の中川敦瑛で文句なし。知念のプレー強度が終盤、際立っていた。相手への迫力ある寄せからのボール奪取でピンチを未然に防ぎ、攻撃の起点にもなった。36節・横浜FC戦では、コーナーキックからヘディングシュート。密集でジャンプしながらも、空中で軸はぶれず逆方向にボールを持っていった。知念の強度が終盤の鹿島を勢いづけた。

 中川は高い技術を遺憾なく発揮。37節・新潟戦、38節・町田戦、中川のドリブルがゴールを生み出した。特に町田戦では、相手のプレッシャーでいつものようにボールを運べない柏だったが、そんな苦しい局面を打開したのが、中川のドリブル力だった。ピッチ中央をドリブルで運ぶ中川の姿は頼もしいものだった。

 ワイドの右には湘南の小野瀬康介。最終節は出場停止だったが、その前の2試合で連続ゴール。小野瀬のゴールを決める時のキックは、シュートを打つためのキックではなく、ゴールを決めるためのキックだ。だから、力任せや勢いで打つのではなく、ボールを蹴る時のインパクトやその後のフォロースルーを微妙に調整している。決めるべくして決まるシュート。見事だった。

 左のワイドには鹿島の松村優太。1ゴール・1アシスト。終盤戦の松村の活躍は鹿島の優勝に不可欠なものだった。スタメンでも途中出場でも、持てる力を出し惜しみなくすべてを出し切る姿は感動的。攻守両面で欠かせない存在になっていた。
 
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