怪我の功名か。確実に選手層が厚くなった日本代表。その筆頭と言えるのが…【コラム】

カテゴリ:日本代表

小宮良之

2025年11月20日

南野のプレーは堂に入っていた

ガーナ、ボリビアに連勝した日本代表。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 11月シリーズ、森保ジャパンは主力が揃っていなかった。満身創痍は言い過ぎだろうが、とにかくケガ人が多く出て、メンバーから外れている。守田英正、三笘薫、鈴木彩艶、町田浩樹、伊東純也などは顕著な例で、冨安健洋のように無所属で再出発しているケースもある。

 選ばれている選手でも、リバプールの遠藤航のように所属クラブで不遇だったり、久保建英、板倉滉のように復帰直後だったり、万全ではない選手も少なくない状況だった。

 もっとも、怪我の功名だろうか。バックアップに入った選手たちが、十分な実力を見せている。

 その筆頭と言えるのが、MF佐野海舟だろう。中盤で攻守を司るように、相手攻撃を潰す一方、迅速な攻撃に転じられる。直近のガーナ戦も、中盤で相手ボールを味方と挟み込んで奪った後、久保建英からのリターンを受けると、力強いドリブルで持ち運び、マークを外していた南野拓実を見つけ、貴重な先制点につなげていた。

 佐野は腰から尻、ハムストリングが強く、下半身が崩れない。それが出足の良さにもつながって大きなパワーを生み出し、球際の応酬で勝利できる。戦術眼にも長けるだけにパスの軌道を読みながら、最善のポジションを取って獲物の急所を見極めたように飛び込める。技術は派手さがなく堅実だが、周りを生かし、輝かせるためにドリブル、パスを使える。

「遠藤の代役不在」
 
 それが代表の難問として長らく突きつけられてきたが、佐野の台頭で解消できたと言えるだろう。今シーズンだけのプレーを考えるなら、プレミアリーグでほとんどピッチに立っていない遠藤よりも上かもしれない。それほど、中盤での存在感は際立っている。
 
 そのガーナ戦では、FW後藤啓介、MF北野颯太、佐藤龍之介、藤田譲瑠チマ、DF渡辺剛、鈴木淳之介、GK早川友喜などが出場し、選手層を確実に厚くしていた。率直に言って、主力選手と比べると彼らは精度も強度も足りない。しかし、オプションの一つにはなってきた。

「新しい選手が入ってピッチに立ち、勝ちを重ねるのはいい」
 
 多くの選手が、新陳代謝が進んでいることを評価していた。その突き上げが、中堅やベテランと言われる選手たちの士気も高める。たとえば、南野のプレーは堂に入っていた。ボールを呼び込み、シュートする。その単純な動作の静謐さというのか。技術だけでなく、重ねた経験による落ち着きを感じさせ、それが代表での連続試合得点につながっていた。
 
 次世代と現役世代の融合のサイクルが、森保ジャパンの力になることは間違いない。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

【画像】日本代表のボリビア戦出場17選手&監督の採点を一挙紹介!躍動した2人に7点の高評価!MOMは華麗な先制弾の15番

【画像】どこもかしこもデザイン刷新! 世界各国の北中米W杯“本大会用ユニホーム”を一挙公開! 

【画像】日本は何位? 最新FIFAランキングTOP20か国を一挙紹介!2位と3位が変動、トップ10に返り咲いた強豪国は?
【関連記事】
「桁違いのレベルだった」ボリビア代表の逸材FWが脱帽した日本代表戦士は? 美弾の鎌田でも中村でもなく…
【画像】日本代表のボリビア戦出場17選手&監督の採点を一挙紹介!躍動した2人に7点の高評価!MOMは華麗な先制弾の15番
「チームメイトから冷たい目線で…」日本代表10番が明かす、森保ジャパンに漂う“妥協なき空気”「お前、何してんねんみたいな」
「一瞬、負けてるのかなって…」久保建英も驚いた森保監督の“大胆采配”。前線になんと同時に3人も…
「冬の移籍はないですね、たぶん」プレミア強豪が関心の久保建英、自身の去就に言及「さすがに…」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 2025年12月号
    11月10日(月)発売
    [特集]
    サンフレッチェ広島
    3年ぶり2度目のルヴァンカップ制覇
    積み重ねたスタイル 挑戦の先に掴んだ栄光
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 2025年12月4日号
    11月6日(木)発売
    [特集]
    W杯イヤーに大注目の若き主役候補を先取り
    ポジション別次世代スター名鑑2026
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ