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想像できなかったほどの活躍を見せるマドリーの18歳新星。テニスでも全国トップ5に入るエリートだった少年が下した“12歳の決断”【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2025年10月20日

「オーケストラの指揮者のようなもの」

マドリーでも堂々たるプレーを見せる18歳のマスタントゥオーノ。(C)Getty Images

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 一般的に12歳という年齢では与えられた人生、つまり他者から指示された人生のレールに乗る以外に選択肢はない。家族によって軌道に乗せられた人生は、才能が開花するか、天職に目覚めるかを待たなければならない。しかしそれは往々にして大人になってから訪れるものだ。

 もちろん、その間にできる仕事や見つかった仕事で生計を立てなければならない。しかし、フランコ・マスタントゥオーノの場合は、わずか12歳で2つの唯一無二の人生が待ち受けていた。エリートテニス選手とエリートサッカー選手だ。どちらのスポーツを選ぶかの交渉の余地はあったが、エリートであることは当然視されていた。

 フランコ少年は、テニスのU-12の全国大会でトップ5に入賞する実力の持ち主だった。ただ並行してサッカーもプレーしていたため、その将来性を評価していたリーベル・プレートは2年間にわたりライバルクラブではなく、別のスポーツ、別の情熱を辞めるよう説得しなければならなかった。

 もしマスタントゥオーノがテニスを続けていたなら、今年、サンティアゴ・ベルナベウではなく、ローラン・ギャロス(全仏オープンの開催地)でデビューを果たしていたかもしれない。12歳でそのようなストレスを抱えている子供もいるのだ。

 当時、「Club de Remo」誌で、マスタントゥオーノは「自分が改善すべき点、うまくいっている点、うまくいっていない点を見つけなければならなかった。トレーニングに対する姿勢を改善し、日々より優れたテニスプレーヤーになろうとしなければならなかった。コーチからは技術的な点も含めて走り方をよく教えてくれた。それは今も続けている」と語っている。

 マスタントゥオーノはリーベルに加入するとすぐに頭角を現した。当時『Infobae』紙で意見を求められた識者が声を揃えて褒め称えたのが、どんなスポーツもハイレベルにこなす天賦の才能に加え、他の選手たちとは一線を画す強靭なハートだった。

 その世代で国内トップクラスの選手として活躍していたスポーツを辞めた決断も、コート上で1人で戦うテニスから、21人のチームメイトと相手選手と一緒にプレーするサッカーに切り替えた選択も、彼のそんなパーソナリティを物語っている。17歳でリーベルから世界屈指のタレント軍団、レアル・マドリーに移籍したことも同様だ。
 
 にもかかわらず、マスタントゥオーノは最初の数試合で、想像もできなかったほどの活躍を見せている。ボールコントロール、ルックアップする様子、一気に抜き去るドリブル、敵陣の狭い隙間を縫ってパスコースを作る動き、味方が走り込む少し前のスペースに出すパスといった彼の1つ1つのプレーからは電撃が潜んでいるような溢れんばかりのエネルギーが感じられる。

 あるいはシャビ・アロンソは、そうした攻撃にダイナミズムをもたらす働き以上に、ピッチ上をまるでテニスコートのように駆け回る走りっぷりに着目しているかもしれない。マスタントゥオーノはいつ、どこで走るかを把握し、それでいて全速力でのスプリントを怠らない。

「彼のプレーを見たとき、我々は『流動性とパターンを持っている』と口々に話した。その振る舞いからはすでに風格すら漂わせていた。さらに優れた遺伝子や体格を持ち合わせ、フィジカルコンタクトにも強い。ヨーロッパでの活躍はすでに約束されているように思う。彼はチームの頭脳だ。オーケストラの指揮者のようなものだ」と、マスタントゥオーノのサッカー選手としての才能を見出し、リーベル入りに尽力したダニエル・ブリズエラ氏は語る。

 12歳の時、マスタントゥオーノがテニス選手になるかサッカー選手になるかは定かではなかった。それから6年が経過し今度はマドリーが要求するプレッシャーに耐え、約束通り世界最高の選手の1人となり、アルゼンチンが待ち望む新たな10番となれるかどうか注目を集めている。

 マスタントゥオーノにとって周りの視線は常に前夜祭のようなものだ。そして本番では常に我々の予想を上回る成果をあげてきた。

文●マヌエル・ハボイス(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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