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「降格制度廃止もありえない話ではない」半数以上のクラブを米国人オーナーが所有。プレミアリーグの“アメリカ化”に英国人記者が懸念「今や観光名所と呼ばれている」【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

スティーブ・マッケンジー

2025年10月16日

「イングランドのサッカー界の脅威にもなっている」

プレミアリーグは現在、20チーム中、11チームがアメリカ人投資家によって所有されている。(C)SOCCER DIGEST

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 私が幼かった頃、プレミアリーグのクラブオーナーは英国人ばかりで、地元の裕福で成功した実業家であることが多く、その地域に貢献したいと考えているオーナーがほとんどだった。

 ここ20年で多くの国籍のオーナーが登場したが、今、プレミアリーグで最も強い影響力を持っているのはアメリカ人だろう。現在のプレミアリーグ20チームのうち、リバプール、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドなど11チームがアメリカ人投資家によって所有されている。半数以上だ。

 プレミアリーグでは、オーナーによる議決権の行使において、規則変更には14クラブの合意が必要とされている。もしこのままアメリカ人オーナーの数が増え続け、14クラブ以上になれば、彼らが望む方向にルール変更することも可能なのだ。英国ファンが慣れ親しんできた慣行を変える可能性がある。

 これまで、アメリカ人投資家がプレミアリーグへの投資を躊躇してきた理由の1つに降格制度がある。なぜなら、もし下部リーグに落ちてしまえば収入が急激に下がってしまうからだ。NFL、NBA、MLBといったアメリカの主要なスポーツのリーグでは、チームが降格することはなく、収入が安定している。

 プレミアリーグの降格制度廃止は過去にも議論されたことがあり、ありえない話ではない。これがもし実現されれば、チャンピオンシップ(イングランド2部)以下のクラブは、全チームの目標である1部昇格の機会が永遠に失われてしまうことになる。
 
 またプレミアリーグの“アメリカ化”はオーナーだけでなくメディアにも及んでいる。プレミアリーグの中継では、今シーズンは新たな試みとして、アメリカで実施されているハーフタイムの選手や監督のインタビュー、交代した選手へのインタビュー、ロッカールーム中継などが導入されている。

 そしてプレミアリーグは今や、「観光名所」と呼ばれている。クラブは、地元のファンやシーズンチケット保持者よりも、多くの支出が期待できる観光客をターゲットにしているのだ。例えば毎週のように試合を観戦する地元のファンは、その都度、クラブショップでグッズやユニホームを買うことはない。また観光客なら多少チケットが高くても観戦に訪れるため、チケット価格は年々高騰しており、地元のファンを苦しめている。

 最近では試合の雰囲気も変化してきた。観光客は試合に熱狂するというよりは、あくまで旅行気分で楽しんでいる傾向が強く、スタジアムはかつてよりも盛り上がりに欠けている。

 これらは時代に沿ったフットボールの進化の一部なのかもしれない。しかしこうした変化を快く思わない英国のファンは少なくない。米国資本は魅力的だが、プレミアリーグの“アメリカ化”はイングランドのサッカー界の脅威にもなっているのだ。

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー(Steve Mackenzie)/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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