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W杯予選後の苦戦が恒例に。佐野、鈴木、中村は収穫も…相変わらず戦術面に課題残す。方向転換も視野に入れるべきか【日本代表】

カテゴリ:日本代表

加部 究

2025年10月11日

クロス偏重も浮き彫りに

パラグアイと2-2ドローの森保ジャパン。W杯に向けて試練の準備期間となっている。写真:永島裕基

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[国際親善試合]日本 2-2 パラグアイ/10月10日/パナソニックスタジアム吹田

 ワールドカップ予選を終えてから、本大会までの準備期間で苦戦を強いられるのは恒例になっている。アジアの枠を出て強豪国との対戦が増えるのでその落差にも苦しむし、また予選を通して長期間メンバーを固めて戦うことになるので、指揮官が序列の変化を把握し難くなる。

 もっとも予選後の強化試合と本大会の成績には、あまり相関性はない。例えば2010年南アフリカ大会以降を振り返って、最も順調に準備が進んでいるように見えたのは2014年ブラジル大会だった。

 本番前年のコンフェデレーションズカップでは3戦全敗ながら、イタリアやメキシコに食い下がって世界を驚かせ、同年11月にはオランダと引き分け、ベルギーには勝利している。W杯予選を終えてから本大会直前までの16試合は9勝6敗1分。56.25パーセントの勝率は過去4大会中最高だったが、逆にメンバーの固定化傾向が強まり、直前に翻意して大久保嘉人を抜擢するなど打開も試みたが、2敗1分でグループリーグ敗退となった。

 最悪だったのが2010年南アフリカ大会に臨む岡田武史体制で、1勝5敗2分で勝率は12.5パーセント。韓国に2度の完敗を喫し、絶望的なムードに包まれ、選手たちの要望もあり本大会直前に戦術を変更してベスト16進出を果たした。

 その点では2018年ロシア大会も状況は似ていた。予選終了後もヴァイッド・ハリルホジッチ監督が指揮を執り10試合を戦ったが、勝利したのはE-1の北朝鮮、中国戦とニュージーランドとの親善試合のみ。結局大会直前に解任され、西野朗監督が引き継ぎベスト16に到達したが、明らかに好成績は軌道修正の賜物だった。

 そういう意味では、前回カタール大会の森保一体制が、最も準備と結果の乖離度合が低く、E-1選手権を除けば3勝3敗1分。本大会では弱者の兵法に徹したが、ドイツ、スペインを破る快挙を成し遂げてベスト16へと漕ぎつけた。

 先月、米国での2戦(メキシコ、米国)で無得点未勝利に終わった今回の日本も、過去の例に漏れずに苦戦を強いられている。しかも前戦で望ましい成果が出なかったことで、試合巧者のパラグアイ戦への取り組み方が一層難しくなった。この一戦で未勝利の連鎖を止めておかないと逆風も吹きかねない。指揮官は、冒険をし難い状況に直面していたはずだ。
 
 だが逆に故障者続出の事態は、後から振り返れば森保監督の追い風になったかもしれない。スタメンのチャンスを掴んだ佐野海舟、鈴木淳之介、中村敬斗が、今後中核を成すことになっても不思議はない重要なアピールに成功したからだ。

 佐野の圧倒的な球際の強さと、ボールを確保してからの判断は出色で、おそらく遠藤航への依存度も軽減されていくはずだ。鈴木も身長以上の空中戦の強さや左足でもフィード可能な器用さで3バックの一角候補に浮上。中村はもともと不可欠の戦力だが、三笘薫が不在で出場時間も増え、左サイドの局面での優位性を担保した。

 ただし、こうして比較的新しい戦力が収穫をもたらした反面、相変わらず戦術面では疑問符が残る。現状の3バックでは崩しの選択がサイドからのアーリークロスに偏り過ぎて、相手が強くなるほど効果が見えなくなる可能性がある。日本は試合を通じて29本(筆者カウント)のクロスを上げたが、逆にポケットまで侵入した回数はほとんどなかった。

 この日シャドーに入った南野拓実や堂安律は、久保建英や鎌田大地に比べても、WBとの連係で崩しにかかるケースが少なく、逆にデビュー戦の斉藤光毅などは、個の打開のテーマが重責になり過ぎて空回りした。

 より大きな試金石になるのは次のブラジル戦だが、その内容や現状の戦力分析も踏まえて、方向転換も視野に再検討を図る時期が来ているようだ。

文●加部究(スポーツライター)

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