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J1町田の“観客動員1万人の常態化”はアクセス問題の限界を浮き彫りに。高まる駅近スタジアム構想の気運。ただ現実的には…

カテゴリ:Jリーグ

郡司 聡

2025年09月18日

好調なチームの存在が、皮肉にも課題を増幅

J1昇格2年目の町田。Gスタ開催のホームゲームで1万人超えが常態化しつつある。(C)SOCCER DIGEST

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 先制し、一度は追いつかれても、相手を突き放す。8月20日に開催されたJ1第30節のFC町田ゼルビアvs.ガンバ大阪戦。3-1で町田の勝利を告げるホイッスルが鳴り響くと、平日の町田GIONスタジアム(Gスタ)に詰め掛けたホームの観衆は、歓喜の瞬間に酔いしれた。

 アジア・チャンピオンリーグエリート(ACLE)の関係上、変則日程の平日開催だったG大阪戦の観衆は1万108人。平日開催は観客動員の視点では大きなハンディとなりがちだが、平日のGスタで1万人超えは大健闘の部類に入る。観客動員数を知らせるアナウンスがスタジアムに流れた際、1万人超えの発表にどよめく声が聞こえたのもそのためだ。

 J1昇格2年目の町田は、Gスタ開催のホームゲームで1万人超えが常態化しつつある。ちなみにGスタ開催における1試合平均の観客動員数は1万211人。2021年5月のバックスタンド完成を機に、町田市にもJ1ライセンスを満たすスタジアムが誕生すると、近年のトップチームの好成績が追い風となる形で、ホームゲームの観客動員数は“鰻上り”だ。その要因をクラブの上田武蔵COOはこう語る。

「昨季と今季の2シーズンにわたってJ1の優勝争いを繰り広げることによって、強いFC町田ゼルビアをピッチ内外で表現できていることが一番大きな要因です。また事業面では、おかげさまでJ1昇格後に町田市内の注目度も上がりましたし、また良い選手が入ってきたことで応援してくださる方々も増えました。さらにはファンの方々が新しいファンの方々を連れてきてくださっていますし、そういった好循環のサイクルを作れていることも大きいです」

 ただ好調なチームの存在が、皮肉にも、もともとあった課題を増幅させている。そうアクセスの問題だ。ホームのGスタは、最寄り駅が小田急線の鶴川駅で、周辺には町田駅、多摩センター駅、淵野辺駅などがあるが、いずれもバスで20分から60分を要する。言うまでもなく、徒歩だとかなり厳しい距離にある。

 上田COOは「トータル3回の増築を経て、今のスタジアムが完成しています。2018年には(J2で)4位に入りながらもJ1ライセンスを所有しておらず、プレーオフに参加する権利がなかった時代を踏まえると、行政の方々にはたいへん感謝しています。こうして我々がJ1を戦えているのも、石阪丈一市長を含めた町田市役所のご理解と応援の結晶です。またアクセス面の整備に関しては、町田市から助成金によるご協力をいただくことで、アクセス面はおかげさまでJ2時代に比べると3倍のバス増便を実現できています」と、行政のサポートに感謝を口にしているが、Gスタにおける“観客動員1万人の常態化”は、アクセス問題の限界を浮き彫りにしている。
 
 課題はいくつかあるなかで、まずはスタジアム周辺における道路環境の影響で大渋滞が避けられないことが挙げられる。たとえばスタジアム周辺道路は1車線であるため、試合後のシャトルバスの復路は、最寄りの鶴川駅まで行った便がスタジアムまで戻ってくるまで長時間を要していることも難点の一つだ。

 なお帰りの待ち時間に関しては、すべての乗車希望者が鶴川駅へたどり着くまでに1時間から1時間30分程度の時間を要しているという。

 もちろんシャトルバスに関しては、鶴川駅だけではなく、町田駅を筆頭とした5つの別ルートもあるため、クラブ側は乗客の分散を促すことで少しでも改善を図ろうとしているが、“頭打ち”の感はどうしても拭えない。道路環境の改善は簡単ではなく、JRと小田急がある主要駅の町田駅までは通常時でも片道45分かかるが、週末だと片道60分にもなる。

 特に復路に象徴される帰路につくまでの所要時間の長さは、アウェーサポーターの不満に繋がってきた。たとえばGスタでのアウェーゲームを体感したアウェーサポーターは、SNSでの投稿やクラブへのアンケートを通じて、時には辛辣な言葉を並べることも少なくない。

 本来であれば、サッカーの興行はアウェーのサポーターへホームタウン町田をセールスする絶好機だが、むしろGスタで試合をすればするほど、町田に対してのマイナスイメージがつきまとうことは実に悩ましい。クラブ調べでは、全体の約65%が町田市外からの来場者とのこと。Gスタでのホームゲーム開催が逆効果となっている点は否めない。

 また別の大きな課題として、バスの運転手不足という社会的背景の影響とコスト面が挙げられる。25年4月の法改正によって、バス運転手の労働時間等の基準が改善されたため、運転手不足に拍車が掛かった。そのため、バス自体を確保できても、運転手を確保できない矛盾ともクラブは向き合っている。

「運転手を増やしてもらうようにお願いしたら?」との声もあるだけに、陳情は続けているそうだが、バス事業者からは、そもそも成り手が少ないこと、また町田の試合日の運行数に合わせて雇用を増やした場合、それ以外の日が余剰人員となるため、経営的に厳しくなると説明されているという。
 
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