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年間で4000万ポンドに増加。エバートンの新本拠地は何が凄い? 主役はあくまでも観客。上限の35度ぎりぎり。ピッチまでの距離が近く、スタジアム全体に一体感【現地発】

カテゴリ:ワールド

田嶋コウスケ

2025年09月02日

「伝統と革新の融合こそが、この場所を特別なものにする」

エバートンの新本拠地「ヒル・ディキンソン・スタジアム」。プレミア初陣はブライトンに2-0で快勝した。(C)Getty Images

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 エバートンが新時代に突入した。

 8月24日に行なわれたエバートン対ブライトンのプレミアリーグ第2節。エバートンにとって今季初のホームゲームとなったこの試合で、新本拠地「ヒル・ディキンソン・スタジアム」がついに扉を開いた。

 スタジアムが位置するのは、リバプール市内北部のヴォクスホール地区。かつて商業港だったブラムリー・ムーア・ドック跡地に建設された。この新しい聖地の誕生は、クラブにとって長年の夢だった。1892年に開場し133年の歴史を刻んだ旧ホームスタジアム「グディソン・パーク」に代わる新たな拠点として、これから人々に愛されていくことになる。

 なお収容人数はグディソン・パークの3万9572人から、新スタジアムの5万2769人へと大幅に拡大された。グディソン・パーク時代は1試合平均の収益が100万ポンド弱(約1億9800万円)だったのに対し、新スタジアム移行後はその倍の200万ポンド強(約4億円)となる見通しだ。

 年間に換算すると、1900万ポンド(約37億円)から4000万ポンド(約80億円)に増加する。さらにイベントやコンサートの開催利用にも力を入れており、年間で3000~4000万ポンド(約60~80億円)の追加収益が期待されている。

 取材でスタジアムに到着してまず惹かれたのは、「観客席からの見やすさ」だった。

 スタンドの傾斜は34.99度。英国の法律で許される上限の35度ぎりぎりに設定されており、観客はどの席からもピッチを間近に感じられる。5万人規模の巨大スタジアムでありながら、ピッチまでの距離が近く感じられ、スタジアム全体に一体感があった。
 
 英紙『デーリー・テレグラフ』は、「イングランドで新たに作られたスタジアム内部は楕円形のデザインが多いが、ヒル・ディキンソン・スタジアムは珍しく四角い内部構造だ。奇跡的なほどスタジアム内部の空間には一体感と圧迫感がある。派手なデザインは抑えられ、主役はあくまで観客だ」と好意的に伝えた。

 なかでも特長的なのは、南スタンドの構造である。このスタンドはピッチレベルから最上部まで一層構造で座席が設置されている。ドルトムントのホーム「ジグナル・イドゥナ・パルク」のゴール裏から着想を得たという。

 ドルトムントのゴール裏は一階層のスタンドで、熱狂的なサポーターが押し寄せることから“イエローウォール(黄色い壁)”と呼ばれている。彼らの声援は一階層の中で次々と伝染していき、やがて大声援となる。その雰囲気の凄まじさと熱気は欧州でも広く知られている。

 一方で、1階席と2階席の間にVIP席などが設置されると、サポーターの声援や熱気が分断される傾向がある。こうした問題を解決するため、近年ではトッテナムの新スタジアムもゴール裏に一階層スタンドを設け、雰囲気作りを重視した。エバートンの新スタジアムも同様の設計を採用している。

 この新スタジアムの設計を担ったのは、アメリカ人建築家のダン・メイス氏だ。ブライトン戦の試合前、本人がピッチに登場して自らマイクを握り、スタジアムの特長を説明した。サポーターから大きな拍手を浴び、英雄のように迎えられたのが印象的だった。

 メイス氏は「伝統と革新の融合こそが、この場所を特別なものにする」と語った。実際、スタジアム周辺には商業港時代の石畳や線路を残し、歴史的建造物である水圧塔やエンジンハウスも修復して隣に保存した。

『デーリー・テレグラフ』紙は「歴史ある建造物を修復して保存した点は素晴らしい」と評価している。遠目には巨大な倉庫のようにも見えるが、近づくと調和のとれたデザインが街の景観に溶け込んでいた。
 
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