８月23日、私はエミレーツで開催されたプレミアリーグ第２節アーセナル対リーズを取材した。

　昨季、チャンピオンシップ（イングランド２部）でのパフォーマンスが高評価だったリーズの日本代表MF田中碧が、プレミアリーグの強豪アーセナルを相手にどのようなプレーを見せるのか、私はとても楽しみにしていた。この日本人MFはリーズがエバートンに１－０で勝利した開幕戦で、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたばかりだ。

　しかし、今回のアーセナル戦では、デクラン・ライス、マルティン・スビメンディ、マーティン・ウーデゴーなど、非常にハイレベルなアーセナル中盤の選手たちと対峙しなければならなかった。

　リーズは前半、相手の強力な攻撃を何とか耐え凌いでいたものの、34分にCKから失点。さらに45＋１分にもブカヨ・サカに追加点を奪われて、前半で２点のビハインドを負う。そして後半にも３失点を喫して、終わってみれば０－５の完敗となった。
 

　右のインサイドハーフで先発した田中は怪我の影響もあり、57分に途中交代。普段のような輝きは見せられなかったものの、アーセナルのワールドクラスの選手たちを相手にも違和感なくプレーし、クオリティの高さを証明した。間違いなく、リーズが志向するポゼッション重視のスタイルの中心にいる。

　そして彼のビジョンとパスの正確さには感心した。さらに粘り強いプレスで守備でも奮闘。田中はチームメイトだけでなく、リーズのファンも鼓舞できる選手だ。

　これほどの選手が昨年、ドイツ２部のデュッセルドルフから約300万ポンド（約５億7000万円）という破格でリーズにやってきたのは驚きだ。このようなパフォーマンスを続ければ、彼は長くリーズに留まらないだろう。さらにレベルの高いクラブへステップアップするはずだ。

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー（Steve Mackenzie）／1968年６月７日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA（全米大学体育協会）主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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