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珍しき前半でのふたりの退場。2-5で敗戦の川崎に抱いた冷静さの不足と等々力に鳴り響いた審判団へのブーイングの違和感

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年08月10日

ウレモヴィッチ、ファンウェルメスケルケンに提示されたレッドカード

痛い敗戦を喫した川崎。次へ切り替えられるか。(C)SOCCER DIGEST

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[J1第25節]川崎 2-5 福岡/8月9日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 川崎にとって夏の中断明けの一戦は、なかなか珍しい展開となった。

 天皇杯の鹿島戦から中2日だった福岡に対し、川崎は先制するも、前半のうちにふたりの退場者を出し、9人対11人のゲームとなった後半は、終盤に連続失点して2-5で敗れたのだ。

 前半で2枚のレッドカードを受ける状況はなかなか見られるものではなく、ハーフタイムや試合後には川崎サポーターから審判団へ大きなブーイングが飛んだ。ファン心理からすればやむを得ない光景だったのかもしれない。

 もっとも清水勇人主審はゲームをコントロールし切れなかった部分もあったように映ったが、ふたつのレッドカード、そして2-2で迎えた73分に福岡に与えたPKは様々な意見もあるだろうが、客観的にはそこまで批判されるものではなかったと感じる。

 15分に川崎の新CBフィリップ・ウレモヴィッチがVARの介入により一発退場になったシーンは相手の足首への危険なスライディングであり、前半アディショナルタイムに右SBファンウェルメスケルケン際に提示された2枚目のイエローカードも、福岡のカウンターに対し、ファンウェルメスケルケンの対応が軽率さも含んでいたと言わざるを得ない。

 73分にVARが介入して福岡にPKを奪われたシーンも、橘田健人のディフェンスは、映像を見返せば、相手の足にかかっていたと捉えられるだろう。

 現にこの日は出番がなかったが、試合後に審判団に歩み寄った川崎FW小林悠は、悔しさを抱えつつ、こう言葉を投げた。

「ブーイングされていましたが、個人的にはそんな間違ったジャッジはしていなかったと感じていました。人によって感じ方は分からないですが、僕は正しいジャッジをしていたと思ったので、レフェリーって改めて大変だなって、ひと言声をかけさせてもらいました」

新戦力のCBウレモヴィッチは前半早々に一発レッドに。(C)SOCCER DIGEST

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 川崎ではよく使われる言葉だが、ベクトルを自らに向けることが大事なのだろう。

 正直、福岡戦は冷静さを欠き「もったいない試合」(脇坂泰斗)という言葉がよく当てはまる。

 脇坂はこうも続けた。

「9人で頑張ったとか言っているようじゃ強くならないと思う。ひとり減れば、今日のようなゲームを招きますし、反省すべきは当事者だけじゃない。そうなってしまった状況が必ずあるので、チーム全員で改善していく必要があります。ひとり減ると勝ちにつながる確率が相当に下がるので、それがないようにしないと優勝を狙えない」

 またボランチの山本悠樹も語った。

「(中断期間で取り組んだ)構えるところと取りにいくところは、良かった部分もありますし、フィリップの退場シーンでは、ちょっと(中盤が)空いちゃったところもあるので、中盤の人数でなんとかできたのかなと思います」

 この日、いつもの4-2-3-1をオリジナルポジションにしながら、ボランチの山本が前に出て、その相棒の橘田がアンカー的に振る舞う4-1-4-1のような形も見られた川崎において、ウレモヴィッチの退場シーンは、橘田が外につり出され、ぽっかり空いた中央のスペースをケアをするために前に出たウレモヴィッチが相手の動きに対応し切れずにタックルを試みた形であった。

 さらに注意していたはずのセットプレーからも2失点しており、2-2の状況でCKから相手にカウンターを許し、ファンウェルメスケルケンが2枚目のイエローで止めたシーンも、周りには味方がいただけに、連係していれば対処できたようにも映る。

 そうした事象が自らの首を絞めたとも言えるだろう。

 長谷部茂利監督も厳しい表情を浮かべた。

「肝のところは(2-2から)PKになる前の1分間。私自身の采配ミスと言いますか、私自身の悔やまれるところ。自分自身の力のなさ。悔やんでも悔やみきれない」

 交代カードを切ろうとしていた最中でのPKの献上でもあった。

 覇権奪回へもう足踏みを許されない状況で次へ向けて大切なのは自省と改善だろう。

 だからこそ等々力に響いたブーイングにもどこか違和感を抱いた。川崎はこれまで短絡的に怒りをぶつけるのではなく、サポーターを含めて自分たちにベクトルを向け、リスペクトを忘れずに目の前の試合に挑んできたはず。

 審判に伝えるべきことは伝えつつ、自分たちと向き合い、どんなトラブルにも冷静にゲームを進める。それはACLエリートの戦いでも学んできたものだろう。タイトルへとつながった独自の等々力に漂う温かい良い文化やチームとしてのこれまでの積み重ねを今一度、思い出すことが大事だと感じるゲームでもあった。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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