「たぶん、うっせーなって思っているかも（笑）。ミーティングも長いし」

　横浜FCを率いる三浦文丈監督が冗談交じりに言う。今夏に四方田修平監督の解任を受け、コーチから昇格した指揮官は、コツコツとチーム作りを進めている。

「攻撃のところとか、ずっと同じことしか言っていない。ミーティングでも、同じことを言っている。選手からしたら“また同じことを言っているよ”みたいな感じにはなっていると思うんですけど、この２週間はとにかく意識づけたかったので」

　攻撃だけでなく、守備に関しても、何をやるべきかを整理し、選手たちにそれを提示して、実践させる。その繰り返しだ。

　サッカーをプレーするうえで、ベースとなる部分の改良にも目を光らせる。現代のトレンドも意識して、“強度”を鍛え上げる。

「やっぱり、サッカーはボールの奪い合いや際の戦い、１対１の攻防。理屈じゃない。ボールを奪いに行く、寄せる、突破するよって」

　少なからず、まだバラつきがあるようだ。だから「基準を上げていかないと。フィジカル、際のところもレベルアップしながら、そこから自分たちのやれることをやっていかないと。どちらかが抜け落ちていてもダメだと思う」。
 

　すでにレアル・ソシエダとの親善試合で指揮を執っているが、８月９日の浦和戦が自身にとって公式戦の初陣となる。試合を数日後に控えた心境を訊けば、「やってやるぞっていうのもあるし、でも不安もある」と明かす。

「これは、もうちょっと詰めておいたほうがいいかなと思ったり。それならあれをもうちょっとやらなければいけない、とか。でも、状況が状況だから、ホームだし思い切ってやるだけだよな、とか。選手に思い切ってやれよって、そういうふうに持っていこうかと思う時もあれば、もうちょっと説明したほうがいいかな、とか。その繰り返しです。今はまだ、とにかく何をしていても考えちゃっている」

　感情が揺らぐこともあるようだが、「でも大丈夫です」ときっぱり。「試合が近くなったら、もっと定まる。やるしかないとなれば」と表情を引き締める。

　浦和戦については「拮抗したゲームになるような気がする」という。「粘り強くやりながら、一刺しして、もう一刺しみたいな感じ」が１つの理想でもある。

　J１残留が最大のミッション。新生横浜FCがどんな戦いを見せるか楽しみだ。

取材・文●広島由寛（サッカーダイジェストWeb編集部）

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