韓国戦の後半、日本が圧倒的に押し込まれる展開で「あれ？」と思ってしまうほど逞しさを増した選手がいた。

　2025年７月15日、E-１選手権を戦う日本代表が韓国と対戦。引き分け以上で大会連覇が決まるシチュエーションで前半こそ上手く試合を運んだが、後半に入ると防戦一方となった。パスが繋がらず、攻撃の組み立てもままならないなかでも森保ジャパンは耐えて、耐えて、耐え凌いだ。

　そうして時間が経過するうちに、大きな存在感を示す選手がいた。ピンチになればなるほど輝きを増す。それが望月ヘンリー海輝だ。中国戦でのゴール以上にどこかオドオドしたプレーぶりが印象的だった23歳のDFが、そんな雰囲気を微塵も見せずに逞しいプレーで韓国の攻撃を跳ね返す。

　ゴールを目指してロングボールを放り込む韓国に対し、日本は引いた布陣で対抗。そうしたなかでとりわけ目立っていたのが192センチの望月だったのだ。打点の高いヘッドで相手と競り合いつつ、サイドの攻防ではクロスを上げられないようにプレッシャーをかける。持ち前の身体能力を存分に活かし、日本の守備に安定感を与えたその様はかなりポジティブに映った。

「僕、メンタル弱いです」

　昨年９月、ワールドカップのアジア最終予選で初招集された望月は、最初の囲み会見でそう自虐的に語っていたが、以後、クラブや代表での経験を経て成長したのだろう。韓国戦終盤の彼はメンタルの弱さを微塵も感じさせなかったどころか、覚醒した感すらあった。

　良い意味で「末恐ろしい怪物の誕生」と、日本が１−０と勝利した韓国戦直後にそう勝手に思った。今回のE-１選手権での成功体験がもたらす自信は、彼にとって貴重な財産になるはずだ。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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