E-１選手権の第２戦目。日本の相手は中国。11分に細谷が先制点を決めて、63分に望月が追加点をゲット。２－０で勝利した。

　初戦の香港戦は６－１。それと比べると、ゴールの数はやや物足りなかったかもしれない。でも、中国はそんなに簡単な相手じゃないからね。最終ラインは高さがあって、守備はまずまず堅かった。

　それでも、しっかりと勝ち切ってみせた日本。１対１のピンチでビッグセーブを見せたキーパーの早川、果敢な仕掛けでチャンスに絡んだ18歳の佐藤など、際立つ活躍を見せた選手もいた。

　そのなかで印象的だったのが、やっぱり先制点の場面かな。敵陣中央でキープした田中が、左サイドに展開しそうな姿勢から、ズバッと縦パスを入れる。中国の選手たちは一瞬、足が止まったよね。

　この縦パスを、前線で細谷が相手を背負いながら、巧みなファーストタッチで横に流す。そして反転しながら右足を振り抜いて、ゴール左に流し込んだ。
 

　密度の高い中国の守備陣を、たった１本のパスで切り崩してみせた。パリ五輪世代の２人の息の合ったコンビネーション。ちょっと鳥肌が立ったね。

　スピードとコントロールは共に完璧な縦パスを供給した田中。スムーズにフィニッシュに持ち込み、狙いすましたシュートでネットを揺らした細谷。彼らの高度な技術が詰め込まれた得点だったと思う。

　キックオフから約10分。中国も日本の攻撃に慣れて、守備のリズムが出てきそうな時間帯に、ゴールをこじ開けた。相手にとってダメージは大きかったはず。その意味でも、価値のある先制点だった。

　中国戦では、香港戦からスタメン全員を総入れ替え。チャンスを得た選手たちが、森保監督の期待に応えてみせた。優勝がかかる最後の韓国戦に向けて、弾みがつく勝利だったんじゃないかな。

【著者プロフィール】
岩本輝雄（いわもと・てるお）／1972年５月２日、53歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ／平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。

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