異国の地で戦う若者にとって、先輩の存在は大きい。その支えが、飛躍につながるか。

　昨年夏、松木玖生はFC東京からサウサンプトンに移籍し、その後ギョズテペにレンタル移籍した。トルコの地では公式戦34試合に出場し、６ゴール・５アシストを記録。リーグ戦では28試合出場で２得点、４アシストをマークしている。終盤はケガにも苦しみ、多くの出場時間を得られなかった。

　保有権を持つサウサンプトンに戻った松木について、地元紙『Daily Echo』は６月29日、「リーグ戦での先発出場は28試合中10試合にとどまった。安定感を見いだすのが難しかった」と、トルコでのシーズンを振り返っている。

「日本時代と比べて、パスや攻撃に関する数字は成長の兆しを示しているが、その他の指標は落ちている。ステップアップしてリーグのクオリティの違いがあったことを考えれば、驚くことではないだろう。だが、出場時間が違ったからでもある。トルコでのマツキはクロスやドリブルなどのアクションが限られた。だが、日本ではフル出場してもっと結果を出していたのだ」

　そのうえで、同メディアは「チャンピオンシップへのステップアップがさらに難しいものとなるかどうかは、まだ分からない。最近、イングランドに来る日本人選手が増えていることは一定の希望だ」と続けた。

「スプリント距離のスタッツによると、チャンピオンシップで求められるフィジカルは、トルコよりもJリーグのそれがそん色ないという。また、2024年２月にJリーグが開幕していたので、マツキは１シーズン半にわたってあまり休まずにプレーしてきたのだ」

「激しいシーズンだっただけに、終盤に何度かケガのトラブルに苦しんだのも驚きではないだろう。シーズン全体において重要な点だった。筋肉のケガで出場機会が限られ、４月初旬以降のプレータイムは72分にとどまっている。バッテリー切れの状態で新しい大陸の新しい国に適応するのは、どんな選手にとっても容易なことではない」
 

　サウサンプトンには日本代表の菅原由勢が所属している。Daily Echoは「イングランド南部での生活に適応するのに、22歳にとって重要な土台として役立つかもしれないのが、ユキナリ・スガワラの存在だろう」と伝えている。
【動画】クラブ公式で菅原が松木を紹介
「スガワラはすでにこの夏、マツキを助けるつもりと話していた。２月に『Daily Echo』に対し、マツキやレント・タカオカがいかに異なる生活に慣れなければいけないかを話していた」

「マツキにはこれから、セインツの新監督ウィル・スティルにアピールするチャンスが来る。U-21のEURO出場でマテウス・フェルナンデスのプレシーズン合流は数週間遅れる見込みだ。マツキはさらに見せ場を得られるかもしれない。サウサンプトンで活躍していくつもりなら、次の１か月は非常に重要となるかもしれない」

　青森山田時代は高校サッカー界のスターだった俊英は、プレシーズンにどれだけアピールできるのか。今後が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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