１回戦で筑波大がJ２のRB大宮に１－０で競り勝った。２回戦ではJFLの青森がJ１の横浜FMを２－０でくだし、東洋大は延長戦の末にJ１の柏に２－０で勝利した。

　下のカテゴリーのチームが格上を相手に白星を掴む。今年も天皇杯ではいくつかの番狂わせがあった。いわゆる“ジャイアントキリング”はなぜ起きるのか。

「メンバーを変えているっていうのがあるんじゃないですか、シンプルに」

　横浜FCの伊藤翔に訊けば、通常のスタメンとは異なる編成が一つの要因ではないかと、歴戦のアタッカーは述べる。

「あとは、カテゴリーが下のチームは頑張るから。PKでも勝ってやろうっていう気持ちもあるだろうし」と話して、こう続ける。

「ちょっと難しいのは、リズムが違うから。それぞれのカテゴリーで、流れってちょっと違う。そこに最初、面食らって、向こうに良い流れがいっちゃったりとかすると難しくなる。いつもだったら、タックルが来ないようなところで来てみたりとか。そういうのがあるから。そこで相手の流れに飲まれると、うまくいかなくなるんでしょうね」
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　横浜FCは６月18日に、天皇杯２回戦でJFLの岩手と対戦する。横浜FCからすればカテゴリーが４つ下の相手だが、伊藤は「クオリティはあると思う」と警戒する。

「良い勝負になってもおかしくはない。上のカテゴリーにいるから、良い勝負じゃダメでしょ、というのはもちろんそうなんですけど、相手もやっぱり頑張るから。そんな簡単な試合というのは、なかなかない」

　伊藤自身は、ここ最近はコンディション不良で戦列から離れていたが、すでに全体練習にも復帰し「試合に出られる状態ではある」。

　今季はまだ公式戦でゴールはない。とりあえず目に見える結果が欲しいところだが...「うん、そろそろね。そろそろやらないと」と意気込む36歳は、「段々と練習して、復活はし始めているんで」と状態を明かす。

　試合に絡んでいても、そうでなくても、選手としてやるべきことを日々徹底している。不断の準備に重きを置く伊藤は、「でも結局、試合をやって勝つのが一番楽しいわけだから。そこがやっぱり栄養分。とりあえず水曜日、勝ちたい」と気合を入れた。

取材・文●広島由寛（サッカーダイジェストWeb編集部）

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