シーズン半分の19試合を戦って6位。“長谷部改革”が進む新生フロンターレの現在地とは

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年06月15日

横浜FCには1-0で勝利

首位の鹿島を追う川崎。6位で後半戦へと臨む。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1第20節]横浜FC 0-1 川崎/6月14日/ニッパツ三ツ沢球技場

 雨の三ツ沢。苦しみながらも覚醒中のボランチ・山本悠樹のゴラッソで勝ち切ったのは川崎だった。

 各クラブ、日程の都合上、消化試合に差があるなか、ACLエリートに参戦していた川崎は、これでちょうどリーグ半分の19試合を戦い抜いたことになる。

 19試合を終え、川崎は首位の鹿島と勝点9差の6位(8勝8分3敗/31得点・19失点)。鹿島は川崎より消化試合がひとつ多いだけに、川崎はさらに差を縮めるチャンスは得ている。

 また得失点でのデータでは、川崎の得点数「31」はC大阪に次ぐリーグ2位。失点数「19」は神戸、福岡と並んでリーグで6番目に少なく、得失点数「+12」は鹿島に次ぐリーグ2位だ。

 今季の川崎は8年指揮を執った鬼木達監督(現・鹿島監督)から長谷部茂利監督へバトンが受け継がれた。長谷部監督がチーム立ち上げ時に掲げたのは、昨季リーグ2位だった得点数「66」をさらに増やしつつ、リーグで7番目に多かった失点数「57」を20点削減することだった。

 そのために、かさんだクロスからの失点を改善し、組織的な守備を構築。攻撃面では自慢のパスワークを活かしつつ、クロスやショートカウンターからの効率の良い得点を増やそうと取り組んできた。

 その面ではここまでの数字は手応えの得られるものと言えるだろう。特に準々決勝以降はサウジアラビアで集中開催されたACLエリートにも参戦し、準優勝したものの、かなりの過密日程を強いられてきただけに、より評価できる数字とも評せる。

 長谷部監督に横浜FC戦を前にここまでの手応えと課題を訊くと、こう返してくれていた。

「手応えはほどほどです。(現状での)課題はここで述べるわけにはいきませんが、チームの内々では共有し、トレーニングを積んでいこうという話はしています。そして我々は次のゲームではなく、もうすでに半分終わったという判断をしています。というのは(未消化の15節)新潟戦をやっていないだけなので。そのなかで、課題に取り組むこと、克服していくことでより良くなっていくんじゃないかと考えています。

 ほどほどの達成感と言いますか、そこは感じています。ただ、現状、多くのチームが半分を終えたなかで試合数のバラツキはあるものの、自分たちの順位、置かれている立ち位置はまだ足りないところはあるので、そこを改めて突き詰めていく。やはり(ゴールを)取れるチャンスでしっかり取ること。そこも大事だと思います。そして続いている失点を減らすこと。

 ただ、私が当初シーズン初めに話していた数値には近いところがあります。話したのは(昨季の得点数と失点数から)得点は下げずに、失点は20減らすこと。そこに近い数字ではきているので、手応えというか質を高める、良くしていくことで、目標により近づきたいです。

 まとめて失点したり、得点できたりもするので、一概に結果、勝点に直結するわけではないですが、それを踏まえながら目標に向かっていくことでベクトルは揃っています。方向としては非常に合っている。そう共有しています」

【動画】川崎・山本悠樹の決勝弾!!
 後半戦に向けては現在の得失点の割り合いをキープしながら、勝ち切る試合を増やし、首位の鹿島との勝点差を埋めていくことになる。

 幸いにも7月5日の23節では、先日、国立で敗れた鹿島とのリターンマッチが、ホームの等々力で待っている。

 攻撃面はより相手を見て臨機応変に崩せる形を増やすこと、守備面はクリーンシートの試合をより重ねることが具体的なテーマになるだろう。

 その意味で今回の横浜FC戦では指揮官が「フロンターレらしくない勝利、フロンターレらしくないシュート本数(6本)であったり、足りないところがあったゲームになったと思います。ただ、私は懐かしい。自分が過去何年か見ていたチームでは1-0で勝つようなこういうゲームがけっこう多かったので、意外と私はこういう勝ち方があるなと、懐かしいなという思いです」と語ったように、泥臭く勝ち切ったことも今後につながるはずだ。

 戦列を離れていた左SB三浦颯太も復活を果たし、右SB佐々木旭、CB丸山祐市、高井幸大で組む4バックは「失点する気がしないほど自信がある」と三浦が語るように、守護神の山口瑠伊らを含めて盤石の堅さを備えつつある。

 そして横浜FC戦では離脱していた大島僚太もカムバックし、山本とダブルボランチを組むなど、橘田健人、河原創らも控えるボランチの質と量はリーグトップクラスとも言える陣容を揃える。

 4-2-3-1での2列目では伊藤達哉、マルシーニョらも好調だ。FWはエリソンが離脱中だが、山田新、小林悠らがアピールする。

 鬼木体制時のように守備でも魅せつつ、圧倒的に攻め切る、3点差以上を目指してどんな時でもゴールを狙い続ける爆発力のようなものはやや落ち着いた印象もあるが、長谷部監督の下で攻守でバランスの良いチームへと変貌している。

 今後はアジアの戦いから離れるだけに、スケジュールは多少は緩和される予定だ。新体制1年目としてトレーニングをより積めることもポジティブに働くだろう。

 その点を訊けば長谷部監督は「欲を言えばもっと練習したいというのはありますが、練習しすぎると言いますか、練習をできる状態になるとコンディションニングコーチに私は練習しすぎと止められるので、充分ある時間でやりくりしていますし、どうにかなっています」と笑ったが、時間があるに越したことはないだろう。

 ACLエリートでアジアトップレベルを経験し、大きな自信も付けてきた新生・川崎が覇権奪回へ今後、どんな戦いを見せるか。その歩みには注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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