いよいよFIFAクラブ・ワールドカップ2025（CWC）が幕を開ける。世界各国から32クラブが参戦するビッグトーナメントを制するのは――。本稿ではパルメイラス（ブラジル）、ポルト（ポルトガル）、アル・アハリ（エジプト）、インテル・マイアミ（アメリカ）が争うグループAを展望する。

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　明確に序列をつけにくいグループで、どのチームにも突破の可能性が少なからずある。筆者の評価としてはポルトがやや優勢だが、大手ブックメーカーのオッズを見ると、パルメイラスがポルトを上回っている。それでも、ほぼ差はない。３番手は地元のインテル・マイアミとなるが、アフリカ屈指の強豪アル・アハリも非常に力があり、どのチームにとっても侮れないだろう。

　開幕戦となるインテル・マイアミとアル・アハリの試合は、やはり世界的なスーパースターのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが登場するということで注目を集めそうだが、大会の行く末を占う意味でも興味深い一戦だ。

　ハビエル・マスチェラーノ監督が率いるインテル・マイアミはメッシと元ウルグアイ代表のルイス・スアレスという“黄金コンビ”でゴールを狙うが、ボランチにセルヒオ・ブスケッツ、左サイドバックにジョルディ・アルバとバルセロナのOBが集結しており、テクニカルなスタイルはMLSで異彩を放っている。

　しかし、ボールを運ぶプレーに関しては、スペイン人のホセ・リベイロ監督が率い、エジプト代表クラスをずらりと揃えるアル・アハリも負けていない。特に司令塔のエマム・アシュールからの展開力は相手の中盤からすると非常に厄介であり、マルアン・アティアなど脇を固める選手たちも攻守に水準が高い。またパレスチナ代表FWウェサム・アブ・アリが前線で存在感を示し、左サイドのモロッコ代表アシュラフ・ベンシャルキの鋭いドリブルも脅威だ。
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　勝負強さにかけてはアフリカでも随一のアル・アハリに対して、インテル・マイアミがメッシを中心にどう攻略していくか。その一方で、ポルトとパルメイラスの激突はA組の行く末にも大きく関わるが、欧州勢と南米勢の力関係を想定していくうえで、大事な試金石と言える。

　アルゼンチン人のマルティン・アンセルミ監督が指揮を執るポルトは、守護神ディオゴ・コスタを中心に手堅く守り、３－４－２－１でワイドにチャンスの起点を作る。2024-25シーズンにトップ昇格１年目で10得点を決めた左シャドーのロドリゴ・モラ、ブラジルの俊英べべーによる仕掛けから、ナイジェリアにルーツを持つ21歳のスペイン代表FWサム・アゲオワが爆発的なフィニッシュでゴールを襲う。すでに欧州中から注目を集めるアゲオワはCWCでさらにブレイクして、価値を高めていくか。

　パルメイラスはブラジル代表GKウェベルトンを支えに、攻撃的なスタイルで大会に打って出る。崩しのキーマンは、イタリアのセリエAなどでも活躍したフェリペ・アンデルソンだ。

　この２試合の結果がその後に大きく影響することは間違いないが、２試合目のポルトにとってインテル・マイアミ、パルメイラスにとってのアル・アハリも決して油断できない。戦力的には全体の中でも大混戦となりそうだが、ここを突破したチームは日程面でもややアドバンテージがあり、勝ち上がったチームのそこからの躍進にも期待していきたい。

文●河治良幸

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