2025年５月31日、RB大宮アルディージャがジュビロ磐田と２−２と引き分けた試合のあと、CBの市原吏音は「複数失点は守備陣の責任」と反省を口にした。確かにそうだが、市原のパフォーマンスに目を移すと、47分にゴール前で素晴らしいクリアをするなど良い働きをして、“さすが”という部分があった。

　今季前半戦に大宮を上位に導く原動力となった市原が６月のワールドカップ・アジア最終予選を戦う日本代表のメンバーになぜ選ばれなかったのか。個人的にそんな疑問があったので、磐田戦後のミックスゾーンで質問してみた。

「森保監督の選考基準、J２よりもJ１の選手を選ぶ。今回の代表不選出でJ２の壁を感じますか」

　すると、市原は「いや、特に感じないです」とあっさりとした表情で回答した。

「（今年２月開催の）U−20アジアカップ後に合流した当初はコンディションが上がってなくて。ここ最近は上がってきましたけど、レベル的にまだまだ足りないなと。そこは森保さんがというよりも、自分にしっかりと矢印を向けて。J１にいないと選ばれないというこだわりはなくて、今はJ２の舞台でもっと圧倒的な存在感を示さないといけないと思います」
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　同じロス五輪世代の佐藤龍之介（ファジアーノ岡山）が今回A代表に初選出されたことで、「自分たちの世代にもチャンスが来たぞ」と希望は膨らんだのか。そうしたニュアンスの質問に対し、市原はとても19歳とは思えない“大人の回答”をする。

「膨らんだというより、いつも（A代表は）意識しています。いつ呼ばれてもいい準備はしています。ただ、代表のことは頭にありますけど、そこに気持ちを持っていかれるのではなくて、まずは大宮をJ１に昇格させる。それが今年の目標ですし、チームで結果を出せば、代表入りというのは後から付いてくるはずなので、まずはここで活躍するのが一番かと思います」

　市原に話を聞くと、常に感心させられる。本当に、19歳なのかと。選手としても、人間としても秀逸なこのタレントをいずれA代表の舞台で見たい。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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