常本佳吾がプレーするセルベッテはスイスリーグを２位に終えた。来シーズンのチャンピオンズリーグ（CL）予選２回戦の出場権を得た。

　37節のルツェルン戦に４－３で勝利し、３位以上を確定させた後、常本はこうコメントした。

「チームとしては来季のヨーロッパコンペティションにでられる権利を残せたことはポジティブなことです。個人としてはシーズンを通して怪我なく試合に出られたこと、あと監督が代わったことで新しい引き出しが増えた事です。ただ、やはり率直にタイトルを逃したことが悔しいです」

　今季のスイスリーグを制したのはバーゼルだった。元スイス代表MFジェルダン・シャキリを中心にレベルが一段上のチームといっても過言ではない。それは２位セルベッテに勝点10差をつけた事実だけではなく、得失点差48という圧倒的な数字からもわかる。
　
　それでも個人としての成長は確かにある。36試合（3141分）に出場し、１ゴール・３アシストと数字も残した。課題としていた攻撃の引き出しは確実に増えているのだ。

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　ルツェルン戦でも右サイドでコンビを組む元ボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFミロスラフ・ステファノビッチとのコンビで敵陣深くまで何度も侵入。随所に好パスで攻撃の起点となり、鋭い飛び出しでPKも獲得した。

「前半は特に相手のボックスに入ったり、PK獲得するまでステファノビッチと良い関係性を見せられたと思います。今日は攻撃面でうまくいったと思いますが、ただ自分の良さである守備に隙を見せてしまったと感じています。もっと絶対的に止められないといけないなと反省もしています。しかし総じて今日の出来は悪くなかったと思います」

　常本はそんなふうに反省点を口にするが、守備面でのデータはどれも高い。この37節終了時点での１対１の競り合いにおける勝利数215回はリーグ５位の好成績。守備面でのデュエルの強さはトップレベルのDFとして絶対条件だ。高い確率で守ってくれるという信頼があるからこそ、監督はピッチに送るのだ。

　ただ、常本が目標としているのはもっと上の世界。だから自分に課す基準値も高みに設定されているのだ。

取材・文●中野吉之伴

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