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「彼ら彼女らはマリノスに懸けている」「クラブより大切な個人はない」主将が10分間の熱きスピーチ。“史上最大の危機”もブーイングではなくチャントで鼓舞。どう感じたのか

カテゴリ:Jリーグ

有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

2025年05月22日

「結果以外いらないことも分かっています。ただ…」

どんな時でも熱い声援を送り続けてくれるサポーター。キャプテンの喜田(左)は感謝を決して忘れない。写真:滝川敏之

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 5月21日に開催されたJ1第13節で、最下位に沈む横浜F・マリノスは、8位のヴィッセル神戸と本拠地・日産スタジアムで対戦した。

 2連覇中の王者撃破で連敗脱出を目ざすなか、19分に元マリノスのエリキに先制点を許すも、43分に喜田拓也が渾身のミドルシュートで同点弾を奪う。しかし、51分に大迫勇也に勝ち越し点を被弾。1-2で競り負け、連敗は7に伸び、11戦未勝利となった。

 試合後のミックスゾーン。1番最後に報道陣の前に姿を見せたのは、喜田だ。

「今日、確かに結果は負けました。そして今は、結果以外いらないことも分かっています」

 神妙な面持ちでそう切り出した30歳のキャプテンは、「ただ...」と続ける。

「『中でどう感じましたか?』と聞かれたら、本当にみんなのベクトルが揃っていたし、前向きでポジティブなエネルギーをものすごく感じた。今までと違うような中身、試合だったこともまた事実だと思う。見た皆さんがどう感じるか分からないですけど、中にいた身としてはそう感じました。ただ、それが結果に繋がらなくてもいい理由には全くならない。

 もちろん、今結果しかいらないところはあるんですけど、その結果を出すためにどうするかを自分たちクラブとして考えて、みんなで話して、ある意味腹をくくって挑みました。今僕らは暗闇の中にいますけど、光という表現が正しいか分からないですけど、非常に前向きでポジティブなエネルギーは感じました」
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 90分を終え、選手がスタンドに挨拶に向かった際、サポーターはブーイングではなく、チャントを浴びせ、熱く鼓舞した。この時、喜田はどう感じたのか。想いを尋ねた。

「もう本当にありがたさしかないですね。僕らは今シーズンを通して悔しい思いしかさせてなくて、嫌気がさしてもおかしくないような状況ではあると思うんですけども、彼ら彼女らはマリノスに懸けているので...例えば、選手やスタッフは長くいるのが難しい世界ですけど、ファン・サポーターの方々は何年、何十年とクラブを愛して支えている人たちが本当に多いので。それを感じられる出来事の1つだったと思うし、それをちゃんと理解して、本当の意味で感じて、自分たちのパワーに変える作業は、今しないといけない。

 でも彼らの存在に甘えてはいけないのも間違いない。クラブより大切な個人はないですし、クラブで何が1番大切かっていうと、ファン・サポーターの皆さんの存在だと思うので、そこは絶対に外しちゃいけない。何を見せられるかっていうと、勝つ姿や戦う姿は見せないといけないと思うので、小さい光でもいいし、這いつくばってでもいいので、全員で這い上がっていくしかないと思います」

 5月25日に戦う次の相手は、首位に立つ鹿島アントラーズ。J2降格経験がない者同士による伝統の一戦だ。喜田は「あんまり相手に対してどうこうはないですけど、本当に素晴らしい相手ですし、今首位で圧倒的な力を示しているので、そういう相手とこのタイミングでやるのは、もちろん意味を持つし、そういう見られ方もすると思う。それは理解しています」と伝えたうえで、不退転の覚悟をこう示した。

「自分たちがこういう究極の状況に置かれて思うのは、『戦っているのは自分たちだけじゃない』ということ。今、自分たちは苦しくてもがいてるけど、このクラブに関わってきた人、先輩たちが数えきれないぐらいいて、その人たちが人生を懸けて繋いできた歴史や伝統があって今がある。このクラブにはそういう人たちがたくさんいて、そういう人たちも同じく苦しんで戦ってくれているのを忘れずに、それを本当の意味で理解しないといけない。

『このクラブはそういうクラブなんだ』と本当に理解して、エネルギーに変えて。連戦で、こういう状況で、選手たち、スタッフは心身ともに多分ギリギリの状態でやってるけど、奮い立たせて、鞭打って、全てはこのクラブのためにやらないといけない。それに尽きると思います」

 10分の熱い取材対応は、宣言であり、スピーチでもあった。“史上最大の危機”を必ず乗り越える――。アカデミーからマリノス一筋でトリコロールの重みを誰よりも知る男の目は、死んでいない。むしろ、燃えている。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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