佐野海舟がプレーするマインツは、ブンデスリーガ32節で３位につけるフランクフルトと対戦し、１－１の引き分けに終わった。

　わずか30キロ程離れたところにある両クラブの対戦は街に流れる川の名前から「ライン・マインダービー」と呼ばれる。これまでに45試合が行われ、マインツは10勝19分け16敗と劣勢だ。

　ダービーらしくピッチ上では序盤からハードな競り合いが連続で起こるなか、佐野はこの日もドイツ代表MFナディム・アミリと中盤でコンビを組み、精力的なプレーを見せていく。味方に指示を飛ばすシーンも多々あり、中心選手としての自覚の芽生えを感じさせる。

　得意のボール奪取だけではなく、中盤での展開力、時折見せる高い推進力でボールを運ぶプレーなど、ハイレベルのプレーをみせただけに、専門誌キッカーはこの試合最高の1.5点をつけ、今節のリーグベストイレブンにも選出。だが当の本人は自身のプレーに満足していない。手ごたえのあった試合ではなかったかというこちらの質問に対して、「いや、全然」と首を横に振る。

「ここ何試合か、あんまり自分の力を出せていない。チームのバランスを見ながら自分の仕事をするところのバランスだったり、チームのバランスを崩して攻めに行かないといけない時だったり、セカンドボールで絶対に自分たちのボールにしないといけない時に(相手と)入れ替わってしまったりというシーンが多い。そこは改善していく必要があるかなと思います」

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　一時はチャンピオンズリーグ出場を狙える位置につけていたマインツはここ７試合勝利がないだけに、是が非でも勝点３を獲りたい気持ちは理解できる。

　とはいえ、３位のフランクフルト相手に後半はゲームを見事にコントロールしての引き分けだけに、ポジティブに受け止められる試合だったのは間違いない。

「１点取られて追いついての勝点１なので、ゼロよりかはでいいとは思います。後半に関しては自分たちの方がゴールに迫る回数っていうのは多かった。ただあそこで勝ち切る力がまだ足りないかなと思います」

　ブンデスリーガは残り２節。今季は上位チームにカップ戦決勝進出クラブがないため、ヨーロッパカップ戦出場権をえるためには６位までに入らなければならない。６位のRBライプツィヒと勝点２差の７位につけるマインツはアウェーでのボーフム戦とホームでのレバークーゼン戦を残す。

　厳しい戦いが待っているが、ボーフム戦で勝利をあげたら連勝は十分に可能性がある。フランクフルト戦で佐野だけではなく、チーム全体のパフォーマンスに上昇の兆しが見られたことは好材料になるに違いない。

「最後までやるべきことは変わらないと思います。チームの勝利に向けて自分のプレーを一つでも多くつなげられるようにすることが大事。そこは続けていきながら。あと２試合しかないですけど、もっとどんどんチャレンジして、自分の足りないところを成長させていかないといけない。そこは貪欲にやっていきたいなと思います」

　中盤に君臨する佐野の活躍で、15-16シーズン以来のヨーロッパの舞台へ到達できるか。ラストスパートに期待したい。

取材・文●中野吉之伴

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