2025年３月16日、今季J１リーグで４戦未勝利だった横浜F・マリノスが５戦目にして初勝利。ホームでガンバ大阪を２-０と破った試合で大きな存在感を示したひとりが、GKの朴一圭だ。

　20本のシュートを打たれながらもビッグセーブを連発して無失点。本人も「仕事は多かったですね、今日は。チームが勝つために自分がやれる最大限の仕事はできた。そこは個人として良かったです」とパフォーマンスに手応えを感じていた。

　ここまでの総失点３はリーグ１位タイ。強固な守備網は今季の横浜FMの武器と言えるかもしれない。ただ、朴は「チームとしてもっと（ボールを）支配していきたい」と課題も口にした。

「もっと自分たちがやりたいことを表現できるシチュエーションはあったはずなので、その点でチームとして少し物足りないなと。後ろから見ていて感じたし、もっと積み上げていきたいです」

　今季ここまでの総得点４は、J１リーグでワースト２位タイ。守れている半面、得点チャンスが少ないのが今季の横浜FMなのである。とはいえ、G大阪戦は引いて守って失点しなかったからこそカウンターから２点が取れたとの見方もできるだろう。それに対して朴は「その捉え方はできますね」と頷いた。

「長いシーズンにおいて、今日のような試合もあります。そこで勝ちに持っていけたのは間違いなく大きいです」

　リーグの頂点を目指すには、ここから得点力を高める必要がある。守備の強度を保ちつつ、攻撃力をアップできるか。オフェンスに力を振りすぎてはディフェンスが脆くなる恐れもあるので、いわゆる“バランス調整”が重要になる。

「どこまで攻撃の針を振るのか、そこから守備にどれだけ針を傾けるのか。そのあたりのバランスを瞬時に見極めないとダメですよね。今は攻撃の時間帯、ここは我慢の時間帯とか、そういうのを読み取るうえで経験は大事です。

　監督が代わったばかりなので当たり前ですが、今のチームには成功体験がない。今日でACLを含めて９試合ですからデータが足りないですよね。データが増えてくれば正解も見えてくるはずで、そこに期待しています。みんなで擦り合わせながら、せぎ合いながらやっていくしかありません。成功体験を積み上げられるかは選手の努力次第。そこだと思います、僕はシンプルに」

　ACLで成功体験を積み上げられるかも大きなポイントになりそうだ。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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