あくまで推測の域だが、結論から述べれば日本代表の森保一監督は３月の招集メンバーを選ぶうえでクラブでの活躍度を最重要視していない。

　その根拠のひとつが、直近のJ１リーグ（３月８日の湘南ベルマーレ戦）でメンバー外のDF長友佑都（FC東京）が今回も呼ばれている点にある。今季J１リーグで圧倒的な存在感を示しているわけではなく、それでも代表メンバー入りできるのは北中米W杯アジア最終予選での”チーム内貢献度”を森保監督に認められているからではないか。

　また、スポルティングで戦列復帰したばかりのMF守田英正はコンディションが万全でないにも関わらず選ばれている。クラブでのパフォーマンスを重視するなら、現時点で守田はリストアップされないはずだ。

　FWに目を移せば、上田綺世（フェイエノールト）が故障明け、古橋亨梧はレンヌで冷遇されている。それでも例えばホルシュタイン・キールで７得点の町野修斗ではなく、そのふたりをピックアップしているのだ。そもそも、リバプールで明らかに控え要員の遠藤航が継続的に招集されているのが、何より森保監督のスタンスを示している。

　実際、森保監督はメンバー発表会見の席で次のように話している。

　「ワールドカップ出場を掴んだうえで、いろいろなチャレンジをしていきたい。最後に競争の中からベストの選手を選べるようにしていきたい」

　チャレンジよりも継続。森保監督はそこに重きを置いているのだろう。違う言い方をすれば、チームの骨格作りに専念しているとなるか。

　なかには「メンバーを固定しすぎ」との批判もあるだろうが、個人的に今回のメンバー選考に違和感はない。最終予選のここまでの流れから大きな変更はないと予想できたし、むしろ当然の顔ぶれになったと捉えている。

　忘れてはならないのが、森保監督は渡辺剛（KAAヘント）、細谷真大（柏レイソル）、望月ヘンリー海輝（FC町田ゼルビア）、鈴木唯人（ブレンビー）など常連組以外の戦力もテストしている点だ。競争の中で生き残ってきたのが今回のメンバーであり、だからこそ違和感がない。

　確かに話題性には乏しい。ただ、最終予選のここまでの圧倒的な戦いぶりから判断するかぎり、森保監督の選考に文句などつけられない。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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