破竹の4連勝で暫定首位に浮上。新生・鬼木アントラーズ好調の理由とは

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年03月08日

首位の柏をアウェーで下す

強力2トップを軸に好調を維持する鹿島。レオ・セアラはハットトリックを達成した。写真:鈴木颯太朗

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[J1第5節]柏 1-3 鹿島/3月8日/三協フロンテア柏スタジアム

 リーグ開幕戦は敵地で湘南に敗れながら(●0-1)、その後はホーム3連勝を飾り、首位・柏とのアウェー戦にも勝利。鬼木達新監督の下で改革を進める“新生・鹿島”はリーグ4連勝で暫定ながら首位に浮上した。

 国内では2016年以来、ACL制覇を含めれば2018年以来、タイトルから遠ざかっている鹿島の再建を託された、クラブOBであり、川崎では8年で7冠を手にした鬼木監督の下、良い船出を切ったと言えるのだろう。

 チーム始動から取り組んできた川崎のような“止める・蹴る”など技術をベースにしたサッカーは発展途上だが、指揮官は“理想家”としての顔とともに持ち合わせている、“勝負師”の顔を鹿島では如何なく発揮している。

 川崎時代も魅せるサッカーを追求しながら、一戦必勝、目の前の勝負にこだわってきたのが鬼木監督だった。

 特に首位の柏との一戦には選手たちに覚悟を求めたという。試合後にはこう語った。

「まずアウェーですが、選手が本当に強気でスタートから最後まで戦ってくれたと思います。またこの雨のなか、本当にホームのような熱い応援で選手を後押ししてくれたことをサポーターには本当に感謝しています。選手はそれに応えたと思いますし、サポーターの力を借りながらという形になりますが、首位の相手にしっかりと力を示そうというなかで、力強く戦ってくれました。

 本当に今日はそこ(勝利への意欲)を一番求めていたので、そういう意味で言うと、ピッチでそれを表現してくれました。やられる場面も最初に何本かありましたが、引かずにしっかりと前から行こうという姿勢を貫いたことが得点に結び付いたと思います。そういう意味で、本当に今日は気持ちが上回ったと感じます。

 アウェーゲームで首位の柏とやるというところで、選手には勝ち切らなければいけないという話をしました。そういったなかで、やはり引き分けではなくて、勝ちにいく姿勢というものが非常に表われたゲームだったと思います。アウェーで勝つということが今日一番重要なことだったと思いますので、そこをやってくれたことは非常に嬉しく思います。

 また、暫定であっても首位というところ、序盤かもしれないですけれど、そういうものを目指しながら自分たちは戦っているので、緊張感があるなかで戦えるっていうのは非常に喜ばしいことです。ただ、あくまで自分たちはチャレンジャーだと常に言っているので、順位はありますけれども、その気持ちは忘れずにと言いますか、そういう気持ちで今後戦っていきたいです」
【動画】レオ・セアラのハットトリック(3点目)
 3-5-2のシステムでウイングバックとインサイドハーフらを上手く活かしながらボールをつないでくる相手に対して序盤は苦戦を強いられた。

 それでも理想に固執するのではなく、勝つために個々の能力を活かし切れるのが今の鹿島の強さで、だからこそチームにポジティブな空気が流れているのだろう。

 特にオーソドックスな4-4-2において、レオ・セアラと鈴木優磨の2トップはJリーグトップと言えるクオリティを誇る。困ったらこの2トップに当てるという考えも共有されている。

 実際に苦戦しながらも26分に奪った先制点も左サイドでの鈴木へのロングボールが起点になった。鈴木はポストプレーから前方へスルーパスを通し、左サイドハーフの松村優太、SB安西幸輝の連係からクロスを上げ、L・セアラがヘッドでワンチャンスをモノにした。この新加入助っ人FWは後半に2ゴールも重ね、ハットトリックを達成したのだから見事である。

 鬼木アントラーズの戦いを最後尾から見つめ、この日はファインセーブも示したGK早川友基はチーム好調の理由を語る。

「みんな自信をもってやれていると感じます。守備面も後手にならない、受け身にならないことをみんな意識的にできていると感じます。スイッチをかけてボールを奪いにいくのが相手を脅かすひとつの要因になっているはずです。もちろん鹿島が積み上げてきたことも大事ですが、そういった面で違いを出せているのは良い変化だと思います。

 特にオニさんは守備で前から行くと言っている。あとは攻撃で相手を見ながらということをもっと状況を読みならやっていきたいです」

 またボランチの樋口雄太も続ける。

「全員でハードワークする。それを1年間やっていくと監督は言っているので、そこに穴ができないようにみんなやっていますし、それがプレスがハマっている要因だと感じます。

(攻撃は)中も使いながら、高さのある2トップも活かしながら、バリエーションを増やしつつ、その使い分けがよりできるようになったら強い鹿島が体現できるはず。今はまだまだですが、勝ながら修正できている。そこは大きい。ボランチがボールを触らないとゲームを作れないし、もっと要求していきたいです」

 鈴木は「チーム内の競争は激しいですし、基準を満たせれば試合に出られる。これが本来の鹿島のあるべき姿で、続けていけばもっと良い結果を残せるはず。(自分も)容赦なく代えられるので。交渉はしなくちゃいけないですが」と冗談交じりに胸を張った。

 前述したように、鬼木監督が理想とするサッカーには質的にもまだ遠い。もっとも現状ではそれが大いなる伸びしろにも映る。現実と理想を追い求めながらしっかり勝ち星を重ねる今の鹿島は実に勢いがある。

 次節はホームでの浦和戦だ(3月16日)。連勝がどこまで続くのか、そしてこのまま今季の主役の座を掴むのか、非常に楽しみである。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部) 


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