自分のプレーの良さや悪さを理解してくれていたら、選手は持ち味を出せる
どんな分野であれ、「名将」と崇められるようなリーダーは、周りを魅了する人間性を持っている。
例えば、それは大らかで、ウィットに富んでいて、人情味があるかもしれない。一見するとネガティブなキャラクターも、一貫していることで人間としての魅力に転じている場合もある。あるいは、何か優れた点があるわけではないのに、人から愛されるようなボスもいる。
「なぜか好きになってしまう」
そんな言い回しで片付けられることもあって、それはカリスマに近い。人間を動力に、集団を牽引するのだ。
では、現場の選手たちはどんな監督を名将だと考えるのか?
「自分を使ってくれる監督」
それは基本条件だろう。ただ、それは客観的に考えた場合、名将かどうかの判断基準にはならない。利益関係になってしまうからだ。
では、次に選手が何を求めているか?
「自分のプレーの価値を理解してくれているか」
それが名将の基準だろう。
自分のプレーの良さや悪さを理解してくれていたら、選手は持ち味を出せる。よしんばメンバーから外されても、自分のことをわかっていてくれている、と信じることができたら、己にフォーカスし、足りないことを見つめ、希望を持って前を向ける。それが集団の中で競争力を生み出し、切磋琢磨となり、ダイナミズムにつながる。
【画像】日本代表!若き逸材!実力者!2025年冬に海外で新天地を求めたサムライたち
例えば、それは大らかで、ウィットに富んでいて、人情味があるかもしれない。一見するとネガティブなキャラクターも、一貫していることで人間としての魅力に転じている場合もある。あるいは、何か優れた点があるわけではないのに、人から愛されるようなボスもいる。
「なぜか好きになってしまう」
そんな言い回しで片付けられることもあって、それはカリスマに近い。人間を動力に、集団を牽引するのだ。
では、現場の選手たちはどんな監督を名将だと考えるのか?
「自分を使ってくれる監督」
それは基本条件だろう。ただ、それは客観的に考えた場合、名将かどうかの判断基準にはならない。利益関係になってしまうからだ。
では、次に選手が何を求めているか?
「自分のプレーの価値を理解してくれているか」
それが名将の基準だろう。
自分のプレーの良さや悪さを理解してくれていたら、選手は持ち味を出せる。よしんばメンバーから外されても、自分のことをわかっていてくれている、と信じることができたら、己にフォーカスし、足りないことを見つめ、希望を持って前を向ける。それが集団の中で競争力を生み出し、切磋琢磨となり、ダイナミズムにつながる。
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レアル・マドリーを世界王者にしたカルロ・アンチェロッティ監督はその化学反応を起こすスペシャリストと言えるだろう。
アンチェロッティは戦術的なトレーニングは最小限しかしない。その点、ジョゼップ・グアルディオラ、ユルゲン・クロップ、ハンジ・フリックのようなプレースタイルを確立した監督たちと比較すると、戦術メカニズムを切り取るのが難しいだろう。選手の「個」が戦いの土台にあって、集団の乱れを突かれて、弱小チームに押し込まれることもあるが...。
アンチェロッティのチームは、そこでたわみ、折れることはない。たとえ失点したとしても、相手と肌を合わせる中、それぞれの選手が綻びを見つけ、そこを集中的に攻め、敵を奈落の底に突き落とす。小さな枠組みに収められていないからこそ、選手個人が無限にプレーの幅を出せる。
「臨機応変」
その最たるもので、どんな対策を講じられても、どんな選手が向かってきても、それに反応できるのだ。
では、能力の高い個人を用いたら、誰でも名将になれるのか。
否、である。
アンチェロッティは、選手の良さ悪さ、特徴を把握する慧眼の持ち主である。どこで、どう使えば活躍するか、その正当性を示してきた。だからこそ選手の信頼を得られている。
選手がアンチェロッティの正義を信じられるのだ。
名将とは人間そのものであり、その正義のぶつけ合いで強さを誇る人物と言える。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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アンチェロッティのチームは、そこでたわみ、折れることはない。たとえ失点したとしても、相手と肌を合わせる中、それぞれの選手が綻びを見つけ、そこを集中的に攻め、敵を奈落の底に突き落とす。小さな枠組みに収められていないからこそ、選手個人が無限にプレーの幅を出せる。
「臨機応変」
その最たるもので、どんな対策を講じられても、どんな選手が向かってきても、それに反応できるのだ。
では、能力の高い個人を用いたら、誰でも名将になれるのか。
否、である。
アンチェロッティは、選手の良さ悪さ、特徴を把握する慧眼の持ち主である。どこで、どう使えば活躍するか、その正当性を示してきた。だからこそ選手の信頼を得られている。
選手がアンチェロッティの正義を信じられるのだ。
名将とは人間そのものであり、その正義のぶつけ合いで強さを誇る人物と言える。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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