3点差からの逆襲 & アディショナルタイムでの同点・逆転劇!

代表キャリアの集大成となる大会で、見事な統率力を見せたストイコビッチ。この試合では、体力の衰えを技術、経験、リーダーシップ、カリスマ性で十分にカバーした。 (C) Getty Images

土壇場で2度のセットプレーを決めたジダン(左端)。一方、PK失敗のベッカム(右端)は悔いを残した。98-99チャンピオンズ・リーグ決勝でバイエルンに味わわせた悪夢を、今度は自らが味わうことに……。 (C) Getty Images
EURO2000。ユーゴスラビアにとっては、感慨深き大会だった。1992年、優勝候補に挙げられながらも大会2週間前に政治の介入によって出場権を剥奪され、96年大会は予選に参加することすら叶わなかった。
84年大会以来のEURO。当時、19歳だったドラガン・ストイコビッチも、35歳の大ベテランとなっており、翌年には現役引退の時を迎えることとなる。
6月13日、スロベニアとの初戦。91年まではユーゴの一部だった国との対決で、背番号10のストイコビッチはスタメンを外れた。しかし、ユーゴは期待のデヤン・スタンコビッチに良いところがなく、36分で「ピクシー」に出番は回ってくる。
試合はスロベニアが優勢で、23分にはエースのズラトコ・ザホビッチがよくコントロールされたヘディングシュートを決めて先制。後半に入り、52分にはFKからミラン・パフリンがヘッドで追加点を挙げる。
さらにその5分後、DFシニシャ・ミハイロビッチ(前ミラン監督)の横パスをカットしたザホビッチがGKとの1対1を難なく制してリードを広げた。
3点のビハインドを負い、さらにはその後、相手選手を押し倒したミハイロビッチが2度目の警告を受けて退場となったユーゴ。絶体絶命の状況に追い込まれたが、ここから反撃が始まる。
その中心となったのはストイコビッチ。彼にボールが集まるようになると、その的確な配球からユーゴの攻撃は機能し、徐々に相手ゴールに迫れるようになる。そして67分、ストイコビッチのCKを起点に、サボ・ミロシェビッチがゴール前で浮き球を詰めて1点目を返した。
さらに70分には、左サイドのジェリコ・ペトロビッチのパスを受けたリュビンコ・ドルロビッチがゴール正面から突き刺して、1点差に詰め寄る。その3分後には、右サイドを抜け出したドルロビッチのグラウンダーのクロスを、待ち受けたミロシェビッチが難なく押し込んだ。ついに同点!
その後、スコアは動くことなく、ともに勝点1を分け合った。勝利を確信していたスロベニアには失望の色が濃い。一方、意地とプライドをかけて因縁の相手に追い付いたユーゴには満足感が漂っていた。
ちなみにこの大会の王者はフランス。決勝戦、イタリアに先制を許し、敗色濃厚となった後半アディショナルタイムでシルバン・ヴィルトールの同点弾が決まり、延長戦ではダビド・トレゼゲがゴールデンゴールを決めて、98年フランス・ワールドカップに続くメジャーイベント制覇を果たした。
劇的な結末で欧州王者となったフランスは、その4年後のポルトガル大会に臨み、6月13日、イングランドとの初戦を迎えたが、ここでも奇跡のような展開が繰り広げられる。
先制はイングランド。38分にデイビッド・ベッカムのFKをフランク・ランパードが頭で合わせた。
試合はフランスの攻勢で進むも、ゴールを割ることはできない。逆にイングランドは73分、PKを獲得。トドメを刺すチャンスだったが、ベッカムのキックは、GKファビアン・バルテスが読んでいた。
この大ピンチを切り抜けたフランスに勝利の女神がほほ笑んだのはアディショナルタイムに入ってから。91分、ゴール正面のFKをジネディーヌ・ジダンが鮮やかにゴール左隅に突き刺して同点に追い付く。
さらにその2分後、スティーブン・ジェラードのバックパスに反応したティエリ・アンリがGKデイビッド・ジェームズに倒されてPKの判定。これをジダンは、冷静に再び左隅へ流し込み、奇跡の逆転勝利をフランスにもたらした。
最初から最後まで波乱続きだったEURO2004に相応しい、これ以上ないドラマチックな一戦だった。
◎6月13日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1984年フランス大会
グループステージ
ベルギー 2-0 ユーゴスラビア
◇1996年イングランド大会
グループステージ
オランダ 2-0 スイス
ブルガリア 1-0 ルーマニア
◇2000年ベルギー・オランダ大会
グループステージ
ノルウェー 1-0 スペイン
ユーゴ 3-3 スロベニア
◇2004年ポルトガル大会
グループステージ
スイス 0-0 クロアチア
フランス 2-1 イングランド
◇2008年オーストリア・スイス大会
グループステージ
イタリア 1-1 ルーマニア
オランダ 4-1 フランス
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
グループステージ
ポルトガル 3-2 デンマーク
ドイツ 2-1 オランダ
※日付は全て現地時間
84年大会以来のEURO。当時、19歳だったドラガン・ストイコビッチも、35歳の大ベテランとなっており、翌年には現役引退の時を迎えることとなる。
6月13日、スロベニアとの初戦。91年まではユーゴの一部だった国との対決で、背番号10のストイコビッチはスタメンを外れた。しかし、ユーゴは期待のデヤン・スタンコビッチに良いところがなく、36分で「ピクシー」に出番は回ってくる。
試合はスロベニアが優勢で、23分にはエースのズラトコ・ザホビッチがよくコントロールされたヘディングシュートを決めて先制。後半に入り、52分にはFKからミラン・パフリンがヘッドで追加点を挙げる。
さらにその5分後、DFシニシャ・ミハイロビッチ(前ミラン監督)の横パスをカットしたザホビッチがGKとの1対1を難なく制してリードを広げた。
3点のビハインドを負い、さらにはその後、相手選手を押し倒したミハイロビッチが2度目の警告を受けて退場となったユーゴ。絶体絶命の状況に追い込まれたが、ここから反撃が始まる。
その中心となったのはストイコビッチ。彼にボールが集まるようになると、その的確な配球からユーゴの攻撃は機能し、徐々に相手ゴールに迫れるようになる。そして67分、ストイコビッチのCKを起点に、サボ・ミロシェビッチがゴール前で浮き球を詰めて1点目を返した。
さらに70分には、左サイドのジェリコ・ペトロビッチのパスを受けたリュビンコ・ドルロビッチがゴール正面から突き刺して、1点差に詰め寄る。その3分後には、右サイドを抜け出したドルロビッチのグラウンダーのクロスを、待ち受けたミロシェビッチが難なく押し込んだ。ついに同点!
その後、スコアは動くことなく、ともに勝点1を分け合った。勝利を確信していたスロベニアには失望の色が濃い。一方、意地とプライドをかけて因縁の相手に追い付いたユーゴには満足感が漂っていた。
ちなみにこの大会の王者はフランス。決勝戦、イタリアに先制を許し、敗色濃厚となった後半アディショナルタイムでシルバン・ヴィルトールの同点弾が決まり、延長戦ではダビド・トレゼゲがゴールデンゴールを決めて、98年フランス・ワールドカップに続くメジャーイベント制覇を果たした。
劇的な結末で欧州王者となったフランスは、その4年後のポルトガル大会に臨み、6月13日、イングランドとの初戦を迎えたが、ここでも奇跡のような展開が繰り広げられる。
先制はイングランド。38分にデイビッド・ベッカムのFKをフランク・ランパードが頭で合わせた。
試合はフランスの攻勢で進むも、ゴールを割ることはできない。逆にイングランドは73分、PKを獲得。トドメを刺すチャンスだったが、ベッカムのキックは、GKファビアン・バルテスが読んでいた。
この大ピンチを切り抜けたフランスに勝利の女神がほほ笑んだのはアディショナルタイムに入ってから。91分、ゴール正面のFKをジネディーヌ・ジダンが鮮やかにゴール左隅に突き刺して同点に追い付く。
さらにその2分後、スティーブン・ジェラードのバックパスに反応したティエリ・アンリがGKデイビッド・ジェームズに倒されてPKの判定。これをジダンは、冷静に再び左隅へ流し込み、奇跡の逆転勝利をフランスにもたらした。
最初から最後まで波乱続きだったEURO2004に相応しい、これ以上ないドラマチックな一戦だった。
◎6月13日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1984年フランス大会
グループステージ
ベルギー 2-0 ユーゴスラビア
◇1996年イングランド大会
グループステージ
オランダ 2-0 スイス
ブルガリア 1-0 ルーマニア
◇2000年ベルギー・オランダ大会
グループステージ
ノルウェー 1-0 スペイン
ユーゴ 3-3 スロベニア
◇2004年ポルトガル大会
グループステージ
スイス 0-0 クロアチア
フランス 2-1 イングランド
◇2008年オーストリア・スイス大会
グループステージ
イタリア 1-1 ルーマニア
オランダ 4-1 フランス
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
グループステージ
ポルトガル 3-2 デンマーク
ドイツ 2-1 オランダ
※日付は全て現地時間