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前回のU-20アジア杯予選と本大会を飛び級で経験したからこそ――最終戦で痛恨ドローに涙を流した保田堅心の心のうち【U-19日本代表】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2024年09月30日

本大会出場決定もキルギスと1-1ドロー

悔しさを胸にさらなる成長を誓った保田。写真:佐藤博之

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[U-20アジア杯予選第3節]日本 1-1 キルギス/9月29日/Dolen Omurzakov Stadium

 鳴り響く太鼓の音に圧倒的な声量で飛んでくる大観衆のチャント。U-19年代の選手からすれば、今までに味わった経験がないだろうアウェーの環境だった。

 来年2月のU-20アジアカップ(U-20ワールドカップの最終予選)出場の条件は、各組1位もしくは2位の上位5チームに入ることだ。ホスト国キルギスとの最終戦を前に日本は2連勝を収めてグループ首位。とはいえ、万が一敗れれば2位となり、他グループの結果を待たなければならない。

 会場の異様な空気感と重圧を受けながら戦ったU-19日本代表は、9月29日のキルギス戦を1-1で終え、辛くも得失点差で上回って1位で本大会行きを決めた。

 立ち上がりから優勢に試合を進めたが、10分を過ぎた頃から速攻で崩されるシーンが頻発。雲行きが怪しくなり、13分には左サイドを突破されて決定的なシュートを放たれる。これはCB喜多壱也(京都)がゴールライン上でクリアしたが、以降もヒヤリとする場面を何度か作られた。

 すると後半開始早々の47分、左サイドを打開され、鮮やかなミドルシュートで先制を許した。直後に左SB髙橋仁胡(C大阪)の右CKからFW神田奏真(川崎)が決めて追いついたが、この日の日本はチャンスを作りながらも決定力不足に泣かされてしまう。結局、最後まで勝ち越しゴールは奪えなかった。

 試合後、まるで優勝したかのように雄叫びを挙げ、感情を爆発させたキルギス。日本のメンバーは誰もがうなだれ、本大会行きが決まった喜びを表現する選手はひとりもいなかった。重苦しい雰囲気のなか、人一倍険しい表情をしていた男がいる。ボランチでプレーしたMF保田堅心(大分)だ。

 1-1になってから、決定機はあった。少なくとも保田には3本のビックチャンスがあったが、逆転の機会をことごとくフイにした。勝ち切れなかった責任は試合後の行動にも表われている。
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 スタッフへの挨拶が終わると、ひとりだけ輪を外れてユニホームで顔を覆う。感情を抑え切れず、涙が溢れてきた。「本当に悔しくて」。本気で身に染みたのだろう。試合後に言葉を紡いだ保田はメディア側から引き出さなくとも、自然と自分を戒めるコメントを残した。

「超アウェーの雰囲気。細かいところはしっかり映像を見返したいと思いますけど、個人的にはチャンスがありましたし、そのなかで決め切れなかった。自分を信じてピッチに残してくれた船越(優蔵)監督にもそうですし、試合に出られなかった選手にも申し訳ない気持ちがある」

 振り返れば、保田は2年前に行なわれたひと世代上のU-20アジア杯予選と本大会に飛び級で参戦しており、今回のチームでは数少ないアジアの厳しさを知る選手。大会前から「チームを引っ張りたい」という言葉を口にし、今予選でロス五輪世代を牽引することを誓っていた。だからこそ、最終戦の結果と内容に誰よりも責任を感じたのだ。

「自分は代表の遠征でアジアに何か国も行っているので、経験しているという点も含めてもっとやらないといけない。周りに見せていく存在なので、もっと成長したいです」

 キルギス戦のような悔しさは二度と味わいたくない――。アジア杯まで残り5か月。この経験があって良かったと言えるようにするべく、背番号8は大分の地でもう一度自分を鍛え直す。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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