これぞストライカーという姿
[J2第32節]千葉 4-1 山口/9月21日/フクダ電子アリーナ
まさにエースストライカー。そう呼べる活躍だった。
決して上手いと唸るようなプレーや、派手なプレーをしたわけでもない。でも、自然と目で追ってしまうオーラのようなものが漂っている。千葉の10番はひと際、光って大きく見えるのである。
3位から6位のチームが進出できるJ1昇格プレーオフ(1、2位は自動昇格)。レギュラーシーズン残り7試合となった32節で行なわれたのが勝点1差の6位・山口と7位・千葉の直接対決だった。
3日前の天皇杯・準々決勝のJ1京都戦は、ターンオーバーを選択し、0-3で完敗していた千葉は、先発11人を入れ替えて山口戦へ。重要な一戦でスポットライトを浴びたのは大卒2年目、プロ初のハットトリックを記録した千葉のエースFW小森飛絢で、4-1の勝利に大きく貢献してみせたのだ。
前半終了間際という相手によりダメージを与えた先制ゴールは、彼の真骨頂が詰まっていた。
味方のシュートをGKが弾いたところにいるのが、このストライカーなのである。「準備で相手を上回る。あとは信じる。ここに来ると、走り切る、プレーを常に止めない」。その意識のもとで導く絶妙なポジショニングはいつもながら、点取り屋そのものだった。
もっとも、彼の前にボールが転がってくるような、引き寄せられるような不思議な光景は、「感覚的なところ」も占めているよう。「昔から染みついているのかな」と、まさに言語化が難しい“嗅覚”というものなのだろう。
【動画】千葉×山口ハイライト
まさにエースストライカー。そう呼べる活躍だった。
決して上手いと唸るようなプレーや、派手なプレーをしたわけでもない。でも、自然と目で追ってしまうオーラのようなものが漂っている。千葉の10番はひと際、光って大きく見えるのである。
3位から6位のチームが進出できるJ1昇格プレーオフ(1、2位は自動昇格)。レギュラーシーズン残り7試合となった32節で行なわれたのが勝点1差の6位・山口と7位・千葉の直接対決だった。
3日前の天皇杯・準々決勝のJ1京都戦は、ターンオーバーを選択し、0-3で完敗していた千葉は、先発11人を入れ替えて山口戦へ。重要な一戦でスポットライトを浴びたのは大卒2年目、プロ初のハットトリックを記録した千葉のエースFW小森飛絢で、4-1の勝利に大きく貢献してみせたのだ。
前半終了間際という相手によりダメージを与えた先制ゴールは、彼の真骨頂が詰まっていた。
味方のシュートをGKが弾いたところにいるのが、このストライカーなのである。「準備で相手を上回る。あとは信じる。ここに来ると、走り切る、プレーを常に止めない」。その意識のもとで導く絶妙なポジショニングはいつもながら、点取り屋そのものだった。
もっとも、彼の前にボールが転がってくるような、引き寄せられるような不思議な光景は、「感覚的なところ」も占めているよう。「昔から染みついているのかな」と、まさに言語化が難しい“嗅覚”というものなのだろう。
【動画】千葉×山口ハイライト
90+3分にカウンターから、左クロスをワンタッチで決めたゴールも、あの時間帯で冷静に、シンプルにネットを揺らす姿はスナイパーそのものであった。
そして極めつけは90+7分。途中出場の岡庭愁人がPKを奪うと、岡庭は自らが蹴るとボールを離さない。それでもハットトリックがかかっていた小森は「俺がエースだ」という自負のもと、「自分に蹴らせてくれ」と主張し続けた。
最後は岡庭に譲ってもらう形でキッカーの座を掴み、豪快に蹴り込んでみせた。
背景には以前、ストライカーの先輩である佐藤寿人さんから寄せられたアドバイスもあった。
「PKも1点は1点。蹴るべきだ」
昨季途中までは元10番の見木友哉(現・東京V)に遠慮しいていた部分はあったらしいが、「自分がPKを蹴る」と決意を新たにしたという。
千葉の小林慶行監督は、エースを評した。
「僕ストライカーではないので、分からないのですが、ハットトリックというのはやっぱり特別なことで凄いことだなと。ただ岡庭には感謝しなくてはいけないと思いますし、彼ひとりでゴールを取っているわけではない。でも、彼は常日頃からそういう姿勢でチーメイトと接していますし、だからこそボールが集まるだろうし、そういうところでは、すごく良い循環が出来ているんじゃないかなと思います」
その言葉通り、試合後には小森は何度も岡庭への感謝の言葉を口にした。ピッチ上では獰猛に、ピッチを離れれば周囲への想いを巡らす。人間性も素晴らしい。
今回のハットトリックで自身は19ゴールで暫定ながらJ2得点ランキングのトップに立ち、チームは昇格プレーオフ圏内の6位に浮上した。
ちなみに改めて訊いてみた。「なぜそんなに点が取れるのか」と。
数十秒、宙を見つめて考えながら短く答えてくれた。
「やっぱり日々の積み重ねですかね」
プロ2年目に臨むにあたって誓った目標はJ1昇格と得点王獲得。ふたつの栄光へ、決して慢心せず、チームを勝たせるために「ゴールを決めることが自分の仕事」とキッパリ言い切って、何度もシュート練習を続ける。期待の24歳の勢いは今後も止まらなそうだ。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
【記事】「また観たいかっていうと観たくない」小野伸二、“ファンタジスタが消えた”現代サッカーに本音。中村俊輔の「生きにくくなった」に同調
そして極めつけは90+7分。途中出場の岡庭愁人がPKを奪うと、岡庭は自らが蹴るとボールを離さない。それでもハットトリックがかかっていた小森は「俺がエースだ」という自負のもと、「自分に蹴らせてくれ」と主張し続けた。
最後は岡庭に譲ってもらう形でキッカーの座を掴み、豪快に蹴り込んでみせた。
背景には以前、ストライカーの先輩である佐藤寿人さんから寄せられたアドバイスもあった。
「PKも1点は1点。蹴るべきだ」
昨季途中までは元10番の見木友哉(現・東京V)に遠慮しいていた部分はあったらしいが、「自分がPKを蹴る」と決意を新たにしたという。
千葉の小林慶行監督は、エースを評した。
「僕ストライカーではないので、分からないのですが、ハットトリックというのはやっぱり特別なことで凄いことだなと。ただ岡庭には感謝しなくてはいけないと思いますし、彼ひとりでゴールを取っているわけではない。でも、彼は常日頃からそういう姿勢でチーメイトと接していますし、だからこそボールが集まるだろうし、そういうところでは、すごく良い循環が出来ているんじゃないかなと思います」
その言葉通り、試合後には小森は何度も岡庭への感謝の言葉を口にした。ピッチ上では獰猛に、ピッチを離れれば周囲への想いを巡らす。人間性も素晴らしい。
今回のハットトリックで自身は19ゴールで暫定ながらJ2得点ランキングのトップに立ち、チームは昇格プレーオフ圏内の6位に浮上した。
ちなみに改めて訊いてみた。「なぜそんなに点が取れるのか」と。
数十秒、宙を見つめて考えながら短く答えてくれた。
「やっぱり日々の積み重ねですかね」
プロ2年目に臨むにあたって誓った目標はJ1昇格と得点王獲得。ふたつの栄光へ、決して慢心せず、チームを勝たせるために「ゴールを決めることが自分の仕事」とキッパリ言い切って、何度もシュート練習を続ける。期待の24歳の勢いは今後も止まらなそうだ。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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