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なぜ好調・川崎の連勝は3でストップしたのか。横浜戦で見えた柔軟な守備対応と大島僚太、佐々木旭、家長昭博らが語った課題

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年08月18日

勝つチャンスは十分にあったが

大島らを軸にチャンスを作ったが、決定機を決めきることができず。悔しい連勝ストップとなった。写真:永島裕基

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[J1第27節]川崎 1-3 横浜/8月17日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 27節のJ1では3連勝中の川崎が横浜と“BIG神奈川ダービー”として対戦。後半に3ゴールを奪われるなどした川崎は1-3で敗れた。

 チャンスは作った。その点で3連勝中の勢いは示したが、仕留め切れなければ、勝機を逃してしまうのが常だ。前半に数本の決定機を決められずに後半にPKなどで連続失点。川崎にとってサッカーではよく見られるゲームになってしまったが、そこに至るまでは様々な伏線があったとも言えるのだろう。

「ああいう持ち方というか、位置取りをしてくるので、事前にある程度、把握はしていましたが、やっぱりやってみると、なかなか大変な相手だなと改めて感じました」(大島僚太)

 4-2-3-1の川崎と4-3-3の横浜。川崎は横浜のアンデルソン・ロペス、エウベル、ヤン・マテウスの3トップに幅と深みを生み出され、トップ下の西村拓真に上手くバイタルエリアに入られたなか、序盤、特に制限できなかったのが右SBの松原健の柔軟な動きだったように映る。

 実際に相手の右サイド、川崎の左SB三浦颯太、左サイドハーフのマルシーニョが守るサイドから何度もチャンスを作られた。そこで20分過ぎあたりから川崎のダブルボランチの一角、大島を松原のケアに出すことにする。

「事前にひとつのアイデアとしてはありましたが、システムの話をしたらあれですが、4-3-3をやっていた時はああいう風な感じで、中盤の選手が(相手のSBを)受け持つという形でやっていたので、それに似た形で出るというのは、ひとつの準備としてありました。ただ最初からそれをやるとなると中盤の運動量が必然的に多くなっちゃうので、やりすぎないようにというか。

 ただあまりにも持たれると相手の狙いとして、スムーズにビルドアップされていたので、そういう風にしようかなと中で決めました」

 当の大島が語る通り、柔軟に守備の形を変えられたのはポジティブな面でありつつ、本来であれば、4-2-3-1のオリジナルの立ち位置で上手く対応できればベストだったのだろう。大島が外に出る回数が増えた分、もうひとりのボランチ、橘田健人の受け持つエリアが増え、1失点目につながるPKと2失点目の西村のスーパーミドルはバイタルエリアを上手く使われて決められた。

 ただ攻守は表裏一体で、大島が松原をケアし、カウンターから松原の裏のスペースを快速のマルシーニョが何度も突いて決定機を生み出している。ここでゴールを奪えていれば、川崎のゲームになっていたに違いないだけに、やはりフィニッシュ精度が課題として挙がる。

 さらに58分にPKで先制点を奪われたあと、2失点目を与えたのは直後の60分。そして5人の交代を終えた直後に3失点目を喫している。失点の時間帯は反省すべきポイントだろう。
【動画】川崎×横浜ハイライト
 また、この日も持ち上がりから素晴らしいパスを通し、終盤には左SBとしても輝いたCB佐々木旭は振り返る。

「ここ3試合、自分たちがしっかりボールを握れる試合が続いていたなかで、今日の相手はボールを握るのが上手いチームでしたし、そうやられた時に自分たちがどういったサッカーをするかというところで、焦れてしまったと言いますか。(試合のなかで)少しずつ良くなっていって最後のところで隙を見せてしまったという展開だったので、そこはまだまだ課題だと思います。

 自分たちはボールを握れるのが前提ですが、握れない時にどうするか。もっとピッチのなかで意思疎通できれば良かったのかなと思います。

 前半は特に守備で上手くハマらず、自陣のゴール前までいかれていたので、もっと早く修正すべきでしたし、後半の1失点したあとなどは緩くなってしまったので、そういうところもまだまだ課題かなと感じます。

(守備がハマらなかったのは相手の)サイドバックのポジショニングと、相手のセンターバックが時間を作れる選手たちで、相手の両ワイドも縦に速かったので、こちらのサイドバックも裏の意識が強かったと思いますし、そういったところで強気にスライドできなかったのが一番かなと考えています。

 途中からは(大島)僚太さんが気を利かせてくれ、マルちゃん(マルシーニョを)を(相手CBの)畠中選手のところに出して、そこでハマり始めたんですが、後半、あのスライドをずっとやっていると体力的にきつくなってしまうので、もっと良い解決策があったのかもしれない。映像を見ながらみんなで話し合っていきたいです。

 課題がどんどん出てくるので、それをひとつずつ消して成長していきたいです」

 今季の川崎は鬼木達監督が根気強く一貫した強化を進め、佐々木、山田新、高井幸大といった楽しみなタレントが逞しさを増しているが、世代交代の真っただ中とあって、チームとしての引き出し、積み重ねをさらに重ねていく必要もあると感じた横浜戦でもあった。

 ピッチの中で話し合いながら守備の対応を変えられたのは成長のようにも映るが、大島は「(成長の)その部分と、事前にこういうのもひとつ相手のつなぎ方としては把握できているので、それはある程度自分たちで準備をして一個、二個、三個と形を増やしていければと常々思っていることなので、成長と言うか試合に入るうえでは当たり前に必要なことなのかなと思います」とも語る。

 また家長昭博に試合後に話を訊けば、今後への指針が返ってくる。

「こういうゲームを、どっちが勝ってもおかしくなかったゲームを、自分たちに引き寄せられなかったのは課題と言うか力のなさだと思いますし、勝ち続ける難しさを改めて感じました。こういうゲームを勝っていかないと連勝は続いていかないので、それは謙虚に受け止めないといけないですし、勝つチャンスはあったと思うのでそれも真摯に受け止めて、こういう悔しさを力に変えていきたいです」

 今は一歩ずつ。3連勝を含めて、勢いを活かして今後の全勝を目標にしていたが、そう簡単に事は運ばないということなのだろう。まずは次の浦和戦で連敗しないことが何より重要だ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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