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【山根視来の MLS挑戦記/第2回】アメリカのピッチ内外の魅力。対戦して驚かされた選手は?

カテゴリ:海外日本人

サッカーダイジェスト編集部

2024年07月26日

現地での生活にも慣れつつ...

今年1月からロサンゼルス・ギャラクシーで活躍する山根。初の海外挑戦で様々な経験を得ている。

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 アメリカに来て早半年、このコラムを考えている数日後にはソルトレイクでの試合を控えていますが、2時間くらいまでであれば飛行機移動も負担にならなくなってきました。以前は九州での試合もハードルが高かったのですが(苦笑)...。

 順応というのは凄いもので、僕の子どもたちも自分が聞き取れないような英語の会話にしっかり答えていますからね。こちらでは太陽を赤ではなく黄色で描くんですが、持って帰ってきた絵を見ても変化を感じています。

 と、言ってもですよ。少し前の話になりますが、マットレスを注文したら指定ではない時間にきたり、家のフローリングは前の住人が靴で生活をしていたので、何度拭いてもなかなか黒ずみが落ちなかったり、悪戦苦闘している面もあります。

 さて、そんなプライベートなエピソードの一方、今回はピッチ内外でのMLSの魅力も語っていきましょう。皆さんご存知の部分もあるかもしれませんが、MLSは給与の総額が制限されるサラリーキャップ制度が適用される傍ら、通称「DP(Designated Player Rule)」と呼ばれ、そのサラリーキャップに捉われない選手も獲得できるようになっています。さらに外国人枠をお金で買えたり...、周りに聞いてもすべてを把握できている人がいないほど様々なルールが存在し、リーグを盛り上げています。
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右サイドで組む“DP”のペイントシルとの2ショット。周囲との連係も日に日に高めている。

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 そんななか先日の試合では、個人的に綺麗にやられてしまうシーンが何回かありました。そういう時に「DP」らスペシャルな選手たちの質の高さを改めて痛感しますし、逆に観ている人たちは面白いんだろうなと感じます。

 Jリーグにはあまりいないタイプと言いますか、ドリブルで仕掛けつつ、最後はループパスで相手を崩すなど遊び心があり、違いを生み出せる選手たちが各クラブにいますからね。うちのチームで言えばリキ・プッチ(元バルセロナ)や、ジョセフ・ペイントシル(ガーナ代表)、ガブリエル・ペック(U-23ブラジル代表)らがそれに当たると思います。

 他にもニューヨーク・シティのチアゴ・マルチンス(元・横浜)は相変わらず質が高かったですし、シカゴのCBの選手(カルロス・テラン/コロンビア/23歳)は、川崎のチームメイトだったジェジエウのように強くて速く、凄みを感じました。ソルトレイクの(クリスティアン・)アランゴ(元コロンビア代表/29歳)は、(吉田)麻也くんも褒めていたように、強くて上手いFWでしたし、LAFC戦で僕がPKを与えてしまった(デニス・)ブアンガ(ガボン代表/29歳)はスピードがあってカットインからとんでもないシュートを打ってくる。日本ではあまり知られずとも能力が高い選手たちが集まっているわけです。

 昨季はバルセロナからラス・パルマスにレンタル移籍していた(フリアン・)アラウホ(メキシコ代表/22歳)は、ギャラクシーの出身。アメリカからビッグクラブへの移籍を勝ち取る例もしっかりあります。

 そしてピッチ外に目を移せば、アメリカならではの“ショー”を意識したようなスタジアムの演出も見られます。試合前には必ず歌手を呼んで国歌斉唱が行なわれ、ほとんどのスタジアムで、選手たちはVIP席に座るお客さんの前を通ってピッチに入場しますが、そこでハイタッチをしたり、声をかけてもらう光景が僕は好きです。普段は見ることのできない場面を目にできたりと、VIP席が本当の意味で価値の高いものになっているんですよね。

 ハーフタイムにがDJが洋楽をかけたり、観客が陽気に踊っていたり、スタジアムのみんながフレンドリーな印象です。声量や一体感が日本の応援の伝統で世界に誇れるものだと思いますが、アメリカはエンターテインメント色が本当に強い。それぞれの特長にも興味深さを感じています。

※原稿はサッカーダイジェスト8月号(7月10日発売号)から転載

■プロフィール
やまね・みき/1993年12月22日生まれ、神奈川県出身。178㌢・72㌔。あざみ野F.C.―東京Vジュニア―東京VJrユースーウィザス高―桐蔭横浜大―湘南―川崎―ロサンゼルス・ギャラクシー。J1通算196試合・14得点。J2通算37試合・0得点。日本代表通算16試合・2得点。粘り強い守備と“なぜそこに?”という絶妙なポジショニングで相手を惑わし、得点も奪う右SB。

構成●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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