J１リーグは４月29日、第１ステージ９節の４試合を開催。ヤマハスタジアムでは磐田対広島が行なわれ、磐田が中村の先制ゴールを守り切り、昨季王者を１-０で下した。

【PHOTOギャラリー】​中村の決勝点を守った磐田がホーム初勝利を飾る

　この試合で、磐田は新たなシステムとなる３バックを採用。３-４-２-１と、広島と同様のフォーメーションで臨んだ。磐田の名波監督はこの意図を、「とにかく相手の動き出すスペースを消したかった。とくに中村、小川には、相手の（対面する）柏、ミキッチという強力な両ワイドを消してほしかった」としている。

　果たして試合は、両サイドでの目まぐるしい攻防が繰り広げられた。そして、試合を決める一発も、ワイドプレーヤーの巧みな駆け引きから生まれる。

　65分、磐田は敵陣中央でボールを受けた小林が、絶妙なボールタッチでタメを作り出すと、ペナルティエリア内には１トップのアダイウトンと、後方から駆け上がった左ワイドの中村が進入。小林からのクロスは、アダイウトンの頭を越えたものの、ミキッチの死角を突いて最前線に飛び出した中村が収め、右足でゴールに流し込んだ。

「あのポイントにはワイドが入ることになっていた。（小林）祐希がよく見ていてくれた」
　殊勲弾の中村は、狙いどおりのゴールだったことを強調した。

　磐田はシュート９本を放った一方で、広島をシュート５本（枠内シュート２本）に抑え、２試合連続のクリーンシートを達成。名波監督は、「相変わらず強いし、巧いなと思いながら見ていた」と王者をリスペクトしながらも、「（３バックという）新しいオプションが完封勝利という結果で生まれたことは高く評価したい」と、初採用の布陣での勝利に手応えを掴んだ様子だ。

　ジェイという切り札を欠きながらも、チームはここ５試合で３勝（１分け１敗）と好調を維持。順位も４月29日終了時点の暫定ながら４位にまで上昇した。対戦相手によって柔軟にシステムを切り替えられる強みを手にしたサックスブルーが、旋風を巻き起こし上位戦線に食い込んでくる可能性も十分にありそうだ。