突然の更迭劇にも、指揮官からは感謝の言葉が並んだ。

　現地２月16日、大韓サッカー協会（KFA）は韓国代表チームを率いるユルゲン・クリンスマン監督の解任を発表した。チョン・モンギュ会長は「期待に応えられず、国民に大きな失望を与えてしまったことを残念に思う」とコメント。「私とKFAへの批判を謙虚に受け止め、お詫び申し上げます。代表チームの監督について総合的に検討した結果、交代することを決定した。クリンスマン監督はリーダーシップを発揮できなかった」と説明した。
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　契約期間を２年半残しての解任だけに、当然違約金が発生する。クリンスマン前監督が受け取る70億ウォン（約７億8000万円）など、コーチングスタッフを含めた違約金の総額は100億ウォン（約11億円）に達すると報じられている。チョン・モンギュ会長は自身の辞任については否定し、違約金の一部を私財から捻出する意向を示した。

　電話で解任を伝えられたというクリンスマン氏は、その直後に公式インスタグラムを更新。韓国代表のトレーニングでチームが円陣を組む画像を添えて、惜別と感謝のメッセージを寄せた。

「すべての選手、コーチングスタッフ、そしてすべての韓国サッカーファンに心から感謝しています！　アジアカップの準決勝に進出できたこと、そしてその準決勝まで13試合連続で負けなしという、この12か月間の信じられない旅を支えてくれて本当に感謝しています！闘い続けてください！」

　韓国の全国紙『朝鮮日報』はこれを受けて、「クリンスマン監督はチョン・モンギュ会長が正式発表する前に、SNS上で事実上の別れを告げた」と投稿内容を紹介しつつ、「確かにアジアカップ準決勝までは13戦無敗（８勝５分け）を誇ったが、韓国代表での通算成績は８勝６分け３敗だ。終わってみれば勝率はわずか47％だったのである」と皮肉を込めた。
 

　激しいバッシングに晒され続けた11か月間だった。就任から４戦未勝利で早くも手腕が疑問視されると、当初の約束を守らずに米西海岸の自宅での“リモート勤務”を続けたことにメディアやファンが激怒。海外組ばかりに目を配り、国内組を疎かにしているなど非難を浴びた。

　アジアカップでは最低限のノルマであったベスト４進出を果たしたものの、采配に対する国民の不満が爆発。試合後にみせた笑顔も集中砲火を浴び、今週に入ってからは準決勝ヨルダン戦の前日にソン・フンミンとイ・ガンインが揉み合いになった「卓球事件」が世間を賑わせた。そこでも選手間の不和を放置したなど監督責任を問われて、一気に解任への動きが加速した。

　現役引退後に監督キャリアをスタートさせたクリンスマン氏は、これまでドイツ代表、バイエルン・ミュンヘン、アメリカ代表、ヘルタ・ベルリン、そして韓国代表を指揮。５年半在任したアメリカ代表監督時代が最長政権で、ドイツ代表は２年間でみずから退任を決断した。一方で、バイエルン時代が９か月、ヘルタ時代が３か月、そして今回も11か月と短期解任が目立っている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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