［J１昇格プレーオフ決勝］東京Ｖ １－１ 清水／12月２日／国立競技場

「嬉しいです、ほんとに」

　12月２日に国立競技場で行なわれたJ１昇格プレーオフ決勝で、J１の切符を手にした東京ヴェルディの主将・森田晃樹は、少しほっとした表情でそう語った。

　それもそのはずだ。

　０－０で迎えた63分に、自陣エリア内で自身のハンドを取られ、そのPKで先制点を許してしまったからだ。

　今季のJ２で東京Vは３位、清水は４位だったため、PO決勝で引き分けの場合は、年間順位が上位の東京Vが“勝者”となるレギュレーション。

　１点を返せれば再び有利な立場になり、その時間もまだ十分に残されていたが、本人も「（精神的に）ブレブレだった」と語ったように、その後は軽い守備が目立つなど、精彩を欠くプレーが散見された。
【厳選ショット】96分に染野唯月が決めた！土壇場での同点弾で東京ヴェルディが16年ぶりの昇格！｜J１昇格PO決勝 東京V１－１清水

　そんな森田を勇気づけたのが、FW染野唯月だ。

「晃樹、負けるなよ！」

　呼び捨てで指摘されたのは初めてだったというが、それがあったからこそ、気持ちを持ち直して最後まで戦い抜けたはずだ。

　そして90+６分に染野が獲得したPKを自ら決め、１－１でタイムアップ。その笛とともにピッチに倒れた森田の目には、大粒の涙があった。

「今までこのクラブにずっと在籍してきて、あと一歩の時もありましたし、悔しい姿を見ているなかで、15年分の想いが溢れました」

　昇格を掴み取れた要因については、「チームとして諦めずに90分間、戦い抜いた結果です」と口にし、こう続ける。

「これまで積み上げてきたものはいっぱいありますけど、一番は『リカバリーパワー』。ミスしても周りの選手が取り返すとか、リカバリーする言葉です。その裏にはどんどんチャレンジしていけというのもあって、それが今日の試合でも大きな力を持ったと思います」

　だが、多くの選手たちも語ったように、これがスタートでもある。森田も「（J１は）さらに厳しいリーグだと思いますし、クラブとして、チームとしてさらなる準備をしないといけない」と気を引き締める。

　東京VがJ１に戻ってくることはもちろん、森田がその舞台で躍動する姿が、今から楽しみだ。

取材・文●金子徹（サッカーダイジェスト編集部）

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