［J１第27節］横浜FC １－２ 柏／９月17日／ニッパツ三ツ沢球技場

　横浜FCにとってJ１残留へ鍵となるのは、ズバリ、「ディフェンスラインの修正」だ。１－２で敗れた柏戦を見て、個人的にはそう強く感じた。

　27節を終え、決めた得点はわずか計23。１試合平均１点にも満たない攻撃力を鑑みれば、もしかしたら頭に「？」が浮かんだ方も少なくないかもしれない。

　当然、ゴールを決めなければ試合には勝てないが、補強以外の方法で、攻撃力が瞬間的に劇的に向上する手段はそれほど多くない。ならば、守備をより強固なものして、少ない得点で勝点を積み上げるしか手立てはないのではないか。

　四方田修平監督もそのあたりは重々承知しているはずで、実際、シーズン中盤からそのような戦い方を徹底して続けている。

　とはいえ、こともあろうか、残留争いのライバルである柏との直接対決では、その戦いがまったくできていなかった。特に２点のリードを許した前半。確かに、風下という不利な状況があった。ただそれにしても、である。

　左右のセンターバック（岩武克弥、マテウス・モラエス）、と両ウイングバック（近藤友喜、山根永遠）のマークの受け渡し、ズレは曖昧で、常に後手、後手に回っていた。
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　その傾向が特に顕著だったのが、マテウス・サヴィオの動きに翻弄された右サイド。たとえば、24分過ぎのプレー。柏は左センターバック（古賀太陽）から左サイドバック（三丸拡）に展開。本来ならそこに小川慶治朗がチェックに行くべきはずが、対応が遅れ、近藤が出ざるを得ない状況に。

　そして岩武が慌ててM・サヴィオにプレスに行くものの、山田康太に簡単にはたかれ、裏へのフリーランニングを許したのである。得点にはつながらなかったが、ディフェンスラインの対応が遅れてピンチを招いた象徴的なシーンだった。

　実は、まだスコアレスだった前半途中に、FW伊藤翔、DFの岩武とンドカ・ボニフェイスの３人の間で、こんなやりとりがあったという。

｢このライン設定どう？ ちょっと低くない？｣（伊藤）、｢今のところ大丈夫！｣（ンドカ、岩武）

　予感は、伊藤が抱いていた悪いほうに当たった。チーム全体がズルズルと下がり、33分にバイタルエリアでM・サヴィオにフリーでシュートを打たれ、そのシュートがエリア内にいた小川の腕に当たってPKを献上。事故的なPKで不運だったとはいえ、チーム全体が下がっていたことに起因する、起こるべくして起こったアクシデントと言えなくもない。

　伊藤も試合後、｢ライン設定をあと５～10メートルほど前にしないと、やっぱりああいうことが起こりうるなとは思いますけどね｣と反省を口にし、今後に向けては｢リードした相手が５バックで守備を固めてきたら、そう簡単には崩せない。そうなる前に、もっと事前に対処することがたくさんあったので、そこからまず着手すべきだという話しはしていきたいと思います｣。

　良い守備から良い攻撃へ。残りは６試合。まずは徹底した相手対策で強固な守備を取り戻し、攻守にもっとアグレッシブな姿勢でJ１残留への道を切り開いてほしい。

取材・文●垣内一之（スポーツニッポン新聞社）

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