［J１第16節］神戸２－２川崎／７月23日／ノエビアスタジアム神戸

　まさにエースの働きだった。

　６月の台風２号の影響で順延になっていた川崎との一戦、前節に首位に返り咲いた神戸は前半、苦戦を強いられた。

　１週間前に首位の横浜を下し、勢いに乗る川崎に、23分には高い位置でボールを奪われ、右サイドから攻められると、最後はペナルティエリア内左でMF脇坂泰斗に決められて先制を許した。さらに30分には相手の左CKからファーサイドでMFジョアン・シミッチに折り返され、FW宮代大聖に頭で詰められて０－２で前半を折り返した。
 

　それでもハーフタイムに吉田孝行監督から「ホームでこのままじゃダメだ、迫力を出すように」と発破をかけられたチームは後半に反撃を開始。中でも輝いたのがエースFWの大迫勇也だった。

　59分には左SBの初瀬亮のクロスがペナルティエリア内で相手のハンドを誘うと、このPKを大迫が冷静に蹴り込む。そして圧巻だったのは62分のCKのシーンだ。空中戦に決して弱くない川崎MFのJ・シミッチに競り勝ち強烈なヘッドを叩き込んだのだ。

　個人の利益より「チームのために点を取る。そこをまっとうしたい」と改めて語る背番号10は、未消化だったこの試合を経て今季のゴール数を「16」に伸ばし、得点ランキングで再びトップに立った。

　この日の神戸は酷暑のなか「90分でトータルで考えるサッカーをしてしまった」（大迫）と、前半はいつものような前からの激しい守備が見られず、ダイナミックさも欠いた印象だ。その分、川崎の小気味良いパス回しに後手を踏んだ。

　それでもチームが苦しい時にこそ仕事をするのがエースストライカーというものなのだろう。

　21試合を経て、神戸は首位をキープ。悲願のリーグ制覇へ逞しい戦いを見せているが、やはり大迫の貢献度の高さが川崎戦では改めて示された。背番号10とともにチームがどこまで駆け上がるのか楽しみだ。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）


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