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鬼木達監督も言及した川崎のエースとしての働き。天皇杯・水戸戦で1ゴール・1アシストの宮代大聖に見え始めた覚悟とオーラ

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2023年07月13日

苦しんだチームを救う

試合後、サポーターと勝利の喜びを分かち合った宮代。得点ペースも上げている。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

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[天皇杯3回戦]川崎 2-1 水戸/7月12日/ケーズデンキスタジアム水戸

 前年は東京Vに敗れるなど川崎にとっては“鬼門”となりつつあった天皇杯の3回戦。今年はケーズデンキスタジアム水戸で水戸と対戦したが、フレッシュなメンバーで臨んだ背景もあってか、やはり苦戦を強いられた。

 そんなチームを救ったひとりが、今季開幕前に約2年に渡る武者修行から戻ったアカデミー出身のFW、23歳の宮代大聖である。

 この日は4-3-3の右ウイングで先発すると、25分には瀬古樹からのボールを右サイドで受け、シンプルにマイナスのクロスを瀬古へと戻して、先制ゴールをアシスト。

 さらに相手に攻め込まれる時間も多かった後半には、80分に橘田健人の縦パスをピッチ中央あたりで受けると、ドリブルで持ち上がりシュート。DFに当たったボールはネットに吸い込まれ、チームに追加点をもたらした。

 直後に水戸の寺沼星文に1点を返され、試合終了間際にはあわやの場面も作られたことを踏まえれば、宮代の1ゴール・1アシストの活躍がどれほど貴重だったかが分かる。

「大聖を使っているのは得点を取りたいから」

 鬼木達監督が寄せる期待もシンプルかつ特大だった。

 宮代は1ゴールを奪った4日前の横浜FC戦で67分までプレー。チームとしては水戸戦後に、中2日でリーグ首位との横浜戦を控えている。さらに現在は同じストライカーのレアンドロ・ダミアン、小林悠が戦線離脱している状況だ。本来は水戸戦で彼を休ませるという選択を考えても不思議ではなかっただろう。

 それでも指揮官は“川崎のエース”というフレーズを使い、こう評した。

「しっかりと期待に応えてくれたと思います。もちろん他にもチャンスがあったなかで、彼の能力からしたらもう一点を決めなくちゃいけませんが、それでも試合を決めるゴールを取ってくれました。

 横浜FC戦でも戦って、今日も戦って、マリノスへの準備もしっかりしなくちゃいけない。そういうタフさがあるなかでフロンターレのエースとしてやっていけるような気持ちを持ってこれからもやっていってほしい。結果を残すことが前線の選手の仕事。そこは良くやってくれたと思います」
 
 その指揮官の言葉を本人に伝えれば強い意気込みが戻ってくる。

「試合に出ている以上は絶対に自分が決めて勝たせてやろうという想いはありますし、監督が言ったようにもっともっとそういう自覚を持ってやらなければいけないと思います。今、こういう順位にいるというのも(リーグ戦は9位)、もっと自分がチームを引っ張っていけるようにしていきたいです。

 いつもオニさん(鬼木監督)は、チームとして3点以上と言われているので、今日もチャンスはありましたし、自分を含めてみんな2点を取った後、3点目を取りにいこうというのは変わらなかったと思いますし、満足している選手はひとりもいないはずです。そういうところはもっと突き詰めていかないと、より手強い相手は一杯いると思うので、そういう相手と対戦した時に厳しい展開になってしまうので、意識してやっていきたいです」

 ちなみにミックスゾーンに現われた宮代の手には水戸のユニホームが握られていた。誰とシャツを交換したのか、訊いてみると、笑顔を浮かべる。彼にとっては別の意味でも特別なゲームであったようだ。

「(髙岸)憲伸です。フロンターレのアカデミーでジュニアとジュニアユースで小さい頃から一緒にやっていたので。あと(安永)玲央も一緒でした。憲伸とは(試合に向けて)ラインもしていたんです」

 この日、安永はボランチで先発し、71分にその安永との交代でピッチに入ったのが髙岸だった。ふたりとの共演を果たし、さらに元川崎のタビナス・ジェファーソンともマッチアップした水戸戦。宮代にとっては忘れられない一戦になったのかもしれない。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)


【厳選ショット】瀬古樹と宮代大聖のゴールで逃げ切り3回戦突破!|天皇杯3回戦 川崎2-1水戸

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