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【高校選手権】湘南内定MF神谷優太の“冬”が終わる。「人生で一番濃かった1年」を経て、プロの舞台へ

カテゴリ:高校・ユース・その他

橋本啓(サッカーダイジェスト)

2016年01月10日

左サイドへポジションを移した後半に躍動するも…。

ハイレベルなテクニックを披露し、チャンスも作ったがネットは揺らせず。無得点に終わった神谷は、人目をはばからずに涙を流した。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 2009年度大会以来の決勝進出を目指した青森山田にとっては、あまりにも辛い幕切れとなった。1-1で迎えた後半アディショナルタイム、CKの流れから逆転ゴールを許してから数分後、終了のホイッスルが鳴り響く。悲願の選手権初制覇への道程は、準決勝で絶たれた。

 同時に、エース・神谷優太の“冬”も終わりを告げた。常々「背番号10を背負う以上、常に結果を出して、チームを勝利に導くのが当たり前」と語ってきたMFはおそらく、チームの敗退にひと一倍責任感を感じていたのだろう。試合後に、悔しさを堪えきれず涙した姿からは、そんな想いも伝わってきた。

 もっとも、この試合での出来が悪かったわけではない。1.5列目で先発した前半こそ、高い位置でボールキープできなかったが、後半頭から2列目の左サイドへポジションを移すと、味方からのパスが収まり徐々に躍動感を見せ始める。

 後半11分には、右サイドを突破した豊島祐希のクロスから、決定機が到来。ファーサイドからフリーで走り込んでシュートは、GKに止められてしまう。さらに21分、ショートCKの流れから右足を振り抜いたが、これはバーに阻まれた。

 神谷が攻撃の起点として機能し始めたことで、後半は青森山田がペースを握るかに見えた。しかし、時間の経過とともに徐々に國學院久我山の猛攻を受ける形になり、最後は力尽きた。神谷自身も「選手権の怖さを思い知らされた」と語る。
 
「インターハイでも、プレミアリーグでも悔しさを味わって、最後に選手権でも同じような想いを味わった。やっぱり、チャンスを決めることが重要なんだと、改めて思いました」
 
 試合後、こう課題を口にした神谷は、自身のこの1年間を「人生で一番中身が濃かった」と振り返る。一昨年まで東京Vユースに在籍していたが、憧れの青森山田で選手権出場という夢を叶えるべく、昨年1月に転入。当初は、雪国という環境に戸惑ったが、その厳しい環境が心身ともに逞しさを増し、遂には尊敬するOBの柴崎岳(鹿島)が背負った10番を託されるまでに成長した。
 
「優勝して自分の選択が間違ってなかったことを証明したい」との想いは叶わなかったが、類まれな攻撃センスで沸かせ、今大会でインパクトを放ったひとりだったのは確かだろう。湘南入りが内定している若きタレントは今後、プロの門を叩き、さらなる進化を遂げるに違いない。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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